経営の健全性・効率性について
平成25年度に下水道使用料改定を実施したことで、経常収支比率が平成25年度から右肩上がりとなり、平成27年度においても100%以上となったことから、使用料で回収すべき経費を全て使用料で賄えている状況であり、経営状況は改善に向かっている。しかし、平成26年度に公営企業会計制度が改正され、流動比率が大幅に減少したことにより、1年以内に現金化できる資産によって1年以内に支払わなければならない負債を賄えておらず、資金が不足するのを防ぐために一時借入金や資本費平準化債などを発行せざるを得ない状態にある。今後も適正な使用料を定めたり事務の効率化を推進するなどして、更なる経営改善に努めていく。また、下水道の未普及対策として今後10年間で下水道普及率を75%から90%に引き上げるコストキャップ型下水道事業を実施し、水洗化率の向上等に努める。事業費についても、新技術の活用や大規模工事発注の導入などにより、事業費を約14%削減できる見込みである。※施設利用率については、晴天時一日平均処理水量÷晴天時現在処理能力で求められるが、晴天時一日平均処理水量については、当該事業で発生した汚水の処理水量が計上されており、晴天時現在処理能力については、当該事業が保有する処理場の能力のみ計上している。本市は処理場を保有しているほか、流域下水道へ接続もしているため、上記数値で施設利用率を求めると100%を超えてしまう。
老朽化の状況について
管渠老朽化率については、類似団体平均値や全国平均値より低い数値であり、他団体と比較すると老朽化は進んでおらず、また、本市下水道事業の普及率は75.0%であるため、今後についても未普及対策を行っていく。そのため、管渠改善率についても、類似団体平均値や全国平均値より低い数値である。しかし、管渠以外のポンプ場や処理場といった施設の老朽化が進んでいるため、今後施設の更新や長寿命化対策を行う必要がある。
全体総括
平成25年度に使用料改定を実施したことや普及啓発活動により水洗化率が向上したことで、経営状況は改善に向かっているものの、事業規模に対する企業債残高が多く当年度の元利償還金が増加している。また、施設や管路の老朽化も進んでいるため、維持管理を安定的に行う必要がある。こうした中、本市では平成27年度に策定した経営戦略に基づき、下水道未普及対策事業や施設の長寿命化、老朽化しつつある施設等の維持管理など、投資計画に基づく合理的な設備投資を実施する。財政計画としては、下水道使用料の適正な水準への引き上げ、資本費平準化債や水道事業からの借入も行うなどして、財政状態の健全性を高める。将来の投資と財源を適切に把握した投資計画と財政計画の均衡を図り、事業の効率化・経営健全化に向けた取り組みを進めていく。