経営の健全性・効率性について
汚水処理場の包括運転管理委託導入や企業債支払利息減等による経常費用の減少により、経常収支比率は上昇傾向にあります。しかし、更新時期を迎えている下水道設備が少なくないため、頻発する突発的な大規模修繕や施設老朽化による定期修繕の高額化、減少傾向の水道使用量等の影響により汚水処理原価が上昇しており、経費回収率の減少を引き起こす結果となっています。市内には不明水の多い地区があり対策は実施していますが、雨天時に流入汚水量が著しく増加することや今後の宅地開発等を考慮すると、類似団体より若干低くはなっているものの、施設利用率60%程度での推移は妥当な処理場規模と考えられます。市街化区域整備が終了しており新規水洗化世帯は宅地転用によるものが殆どを占め、改造による接続は年10戸程度のため、水洗化率は高止まり傾向が続いています。啓発活動は進めているものの、未水洗化世帯には経済的事情を抱えている事例が少なくないため、下水道使用料の大幅な伸びは期待できない状況にあります。下水道事業経営にあたり、一般会計から国の基準額以上の繰入を受けてはいますが、前述した状況等により単年度収支赤字が今後とも続き累積欠損金比率も上昇する見込みです。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は46%、耐用年数の短い機械装置においては75%を超えており、資産の種類によっては老朽化が非常に進行しています。長寿命化計画を策定し施設延命に取組んでいますが、その経費は多大なものとなります。管渠施設には耐用年数を超過する施設はないものの、施設整備を集中的に実施した時期があるため、今後10年以内に現施設の5%、20年以内に30%、25年以内に60%と、加速度的に老朽化が進みます。しかし、既に老朽化している下水道施設が少なくないため、管渠施設の更新まで手が付けられないのが現状で施設改善率が毎年度0.01%と、進んではいません。将来的に必ず必要となる施設更新に備えて、その更新手法や財源確保、整備計画など検討していく時期となっています。
全体総括
近隣市町に先駆けて昭和45年度から下水道事業を進めた結果、更新時期を迎えている下水道施設が少なくないため、維持管理費用やその資金調達、更新手法等が直面しつつある課題となっています。市の財政状況も切迫しており、一般会計からの長期的かつ安定した十分な繰入金が期待しにくい状況となっているため、厳しい事業経営を迫られています。そうした中、当面、下水道使用料の改定や下水道施設統廃合による経費節減の検討を進め、経常収支比率の改善に取り組みます。また、国庫補助金や企業債を有効活用した施設修繕計画により、限られた資金で効率的な施設更新を進めることにより、下水道事業の健全化、効率化を図ります。