経営の健全性・効率性について
【収益的収支比率】平成27年10月の使用料改定の効果が1年分表れ、料金収入は増加しましたが、他会計繰入金が減少したため、総収益は0.19%減少しました。一方で総費用は3.58%、地方債償還金も2.77%減少しており、収益より費用の減少幅が大きかったことから平成27年度比で改善しました。【企業債残高対事業規模比率】増加した料金収入に対し、現在も施設の機能強化対策事業に係る下水道債や資本費平準化債を発行しているものの、施設建設時に発行した企業債の償還が進み、全体で企業債残高が減少したため、本比率は改善しました。【経費回収率】料金収入が増加し、汚水処理費が減少したため、当該比率は改善しました。今後は、汚水処理に係る経費の更なる削減に一層努めます。【汚水処理原価】年間有収水量は減少したものの、それ以上に汚水処理費が減少したため、平成27年度比で改善しました。【施設利用率】水洗化率や年間有収水量は減少しましたが、晴天時一日平均処理水量が増加したため、施設利用率は上昇しました。なお、平成28年度の日最大処理水量処理時の施設利用率は88.33%です。【水洗化率】生活排水処理推進員の戸別訪問による接続相談や集落排水管理組合と連携した啓発により新規接続があったものの、処理区域内の人口減少が続いています。平成27年度比で、処理区域内人口は2.22%減少でしたが、水洗便所設置済人口は2.65%減少したため、水洗化率は下降しました。
老朽化の状況について
農業集落排水事業は整備が完了しており、最も早く供用開始した施設は、平成28年度末で34年が経過しました。各施設の安定的な機能維持を図るため、経年劣化の対応策として計画的に機能強化工事を行い施設全体の長寿命化を進める一方で、汚水処理の効率化を図るため農業集落排水施設と下水道施設を接続する汚水連携事業を進めます。なお、平成28年度には、道路改良工事に伴う補償工事として0.35kmの改良を行いました。
全体総括
農業集落排水事業の経営は、処理区域内の人口減少の影響により料金収入の確保が困難な中、老朽化した施設を抱え、適切な維持管理及び施設の長寿命化対策を進めなければならず、今後も厳しい状況が見込まれます。引き続き、生活排水処理推進員の戸別訪問による接続相談や集落排水管理組合と連携した啓発により接続率を向上させ、料金収入を確保するとともに、下水道施設との接続による処理場の統廃合を行うなど施設の維持管理費のより一層の削減に努めます。さらに、経営成績や財政状態などの経営状況をより的確に把握するため、平成32年4月に地方公営企業法の一部適用を行う予定です。※新元号が未定であるため、改元が予定されている日以降の年についても「平成」により表記しています。