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平成30年度においては、市税の増収等により基準財政収入額が増加したものの、社会福祉費等の増加による基準財政需要額の増加額が基準財政収入額の増加額を上回ったため、単年度の財政力指数は前年度と比べると0.01ポイント低下の0.89となり、3年平均では前年度と比べると0.02ポイント低下の0.90となっている。直近の5年間の推移を見ると、類似団体平均を上回っているものの、低下傾向が続いている状況にあることから、更なる市税等の収納率の向上や債権回収の強化に向けた取組等により、財政基盤の強化に努める。
生活保護費や保育所等への施設型給付費の増加等により扶助費が増加したことや、学校情報教育推進事業や中学校完全給食推進事業の増加等により物件費が増加したことなどから、経常経費充当一般財源が前年度と比べると0.6%増となっている。一方、経常一般財源は、市税について、県費負担教職員の給与負担等の権限移譲に伴い個人市民税所得割が増加したことや、新規法人の市内進出や法人の設備投資の促進により、固定資産税が増加したこと等で、前年度と比べると0.6%増となっている。こうしたことにより、経常収支比率は前年度と比べると0.3ポイント低下の98.1%となったものの、依然として類似団体平均を上回っている。このため、引き続き、事務事業の精査・見直しや、市単独事業の扶助費等の見直しなどを行うとともに、収納対策の強化による市税収入等の確保に取り組むほか、市債の発行に当たっては、元利償還金に対する地方交付税措置のある有利な起債を活用するなど、財政の硬直化改善に努める。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口一人当たりの金額は、前年度と同様、類似団体平均を下回っている。各経費についてみると、人件費については、退職手当や時間外勤務手当等の減少により、前年度と比べると1.1%減、物件費については、行政事務情報化経費の増加等により、前年度と比べると2.8%増、維持補修費については、清掃施設や小・中学校などに係る経費等の増加により、前年度と比べると15.1%増となった。人件費と維持補修費については類似団体平均を下回っているが、物件費については類似団体平均を上回り、団体内順位も12位となっている。こうしたことから、行財政改革の取組により、引き続き、物件費をはじめ、各経費の削減に努める。
平成27年度に給与制度の総合的見直しを実施し、給料表の引下げ改定を行ったことにより、27年度ラスパイレス指数(28年4月1日現在)は100を下回っている。その後は、100を下回る水準で推移している。平成30年度の数値(31年4月1日現在)は、職員構成の変動により前年度と比較して0.2ポイント低下している。今後も引き続き、適正な給与水準の維持に努める。
平成28年度に策定した職員定数管理計画(計画期間:平成29年度~31年度)においては、29年度当初の職員定数を3年間維持することとしており、職員数も変動していないことから、前年度とほぼ同数となっている。平成26年度以降、類似団体平均を下回っているが、引き続き、事務執行体制及び事務事業の見直しや民間活力の導入を推進するとともに、必要度・重要度の高い事務事業に対しては重点的に職員を配分するなど、適切な定員管理に努める。
実質公債費比率については、分母である標準財政規模が市税の増収等により増加したことに加え、分子では元利償還金等が増加したものの、緊急防災・減災事業債など地方交付税措置のある事業債に係る元利償還金の比率が増加したことにより、前年度と比べると0.2ポイント低下となっている。実質公債費比率が類似団体平均を大きく下回っている主な要因としては、第2次さがみはら都市経営指針・実行計画で定める市債の発行抑制目標等に留意し、適正な市債発行に努めてきたことがあげられるが、引き続き、市債の発行に当たっては、元利償還金に対する地方交付税措置のある有利な起債を活用するなど、将来にわたり持続可能な財政運営に努める。
将来負担比率については、分母である標準財政規模が市税の増収等により増加したことに加え、分子では基金残高の増加や地方債現在高のうち地方交付税措置のある事業債に係る残高の比率が増加したことにより、前年度と比べると5.7ポイントの低下となっている。将来負担比率が類似団体平均を大きく下回っている主な要因としては、第2次さがみはら都市経営指針・実行計画で定める市債の発行抑制目標等に留意し、適正な発行に努めていることがあげられるが、引き続き、市債の発行に当たっては、元利償還金に対する地方交付税措置のある有利な起債を活用するなど、将来にわたり持続可能な財政運営に努める。
人件費に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.8ポイント低下の34.4%となっている。人口一人当たりの人件費や1,000人当たり職員数、ラスパイレス指数は、類似団体平均を下回っている。給与制度の総合的見直し(平成27年度実施)や職員定数管理計画(28年度策定)において、給与水準の適正化や適切な定員管理に取り組んでおり、今後も引き続き、適正な職員規模や給与水準の維持に努める。
物件費に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.4ポイント上昇の16.3%となっている。近年の推移をみると、平成26年度以降、継続して類似団体平均を上回っている。物件費の内訳では、委託料の占める割合が66.4%と最も高く、次いで需用費、賃金となっている。物件費が類似団体平均に比べて高いのは、本市の最低賃金が他の類似団体と比較して高い傾向にあるため、最低賃金が委託事業者や非常勤職員の賃金に反映されることによるものである。引き続き、事務事業の精査・見直しによる経費縮減に努める。
扶助費に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.4ポイント上昇の17.2%となっている。この要因としては、障害児者介護給付費や難病患者医療費給付事業に係る経費が増加したことなどが挙げられる。本市の扶助費充当分が類似団体平均を上回っているのは、人口一人当たりの市単独事業の扶助費が高く、その中でも特に児童福祉費と社会福祉費が、類似団体内で比べると高い水準にあることが主な要因である。平成30年度については、市単独事業の扶助費のうち、施設型給付費(教育総務費)が前年度と比べると24.5%増と大きく伸びている。こうしたことから、引き続き、市単独事業の扶助費等の見直しに努める。
その他に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.1ポイント上昇の9.5%となっている。これは、国民健康保険事業特別会計において、財政健全化を進めたことにより繰出金が減少したものの、清掃施設や小・中学校に係る維持補修費が増加したことが主な要因である。引き続き、特別会計の経営健全化や公共施設の適正な管理に努める。
補助費等に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.3ポイント低下の6.3%となっており、近年の推移をみても、平成26年度以降、継続して類似団体平均を下回っている。これは、補助費等のうち、臨時福祉給付金給付事業の終了等により民生費が大きく減少したことが、主な要因である。引き続き、行財政改革の取組を進め、事務事業の精査・見直しによる経費縮減に努める。
公債費に係る経常収支比率については、前年度と比べると0.1ポイント低下の14.4%となっており、類似団体内において最も低い数値となっている。近年の推移をみても、平成26年度以降、継続して類似団体平均を下回っている。これは、第2次さがみはら都市経営指針・実行計画において、市債の発行抑制目標等に留意し、適正な市債発行に努めてきたこと等が主な要因である。引き続き、市債の発行に当たっては、元利償還金に対する地方交付税措置のある有利な起債を活用するなど、適正な対応に努める。
公債費以外に係る経常収支比率について、主な内訳をみると、人件費充当分が34.4%、扶助費充当分が17.2%、物件費充当分が16.3%となっており、前年度と比べると0.2ポイント低下の83.7%となっている。これらの主な内訳が類似団体平均を上回っているため、全体としても高い数値となり、公債費以外についても類似団体平均を上回っている。こうしたことから、引き続き、行財政改革の取組を進め、経費縮減に努める。
(増減理由)平成30年度の財政調整基金の残高は、市税等の歳入が見込みを上回り取崩額を減額したため、前年度と比べると約11億円増加した。その他特定目的基金においては、老朽化する公共施設の長寿命化事業等を着実に推進する必要があることから、その財源を確保するため、「公共施設保全等基金」や「学校施設整備基金」への積立を行ったことなどから、残高は前年度と比べて約12億円増加した。平成28年度から30年度にかけて基金全体で約28億円増加しているが、これは上記の理由から、平成30年度基金残高が前年度と比べて約24億円増加していることが主な要因である。(今後の方針)基金については、それぞれの設置目的に従い積立・取崩し等を行っているが、現在、それぞれの積立の考え方などについても整理・研究を進めている。また、老朽化する公共施設の長寿命化事業等を着実に推進する必要があることから、その財源を確保するため、「公共施設保全等基金」や「学校施設整備基金」の残高が増加する見込みで、現在、「公共施設の保全・利活用基本指針」に基づき、施設等の長寿命化計画の策定に向けた取組を進めているところであるが、積立の考え方などについても整理・研究を進めているところである。
(増減理由)平成29年度においては、前年度決算剰余金等約40億円の積立を行ったのに対し、47億円の取崩しを行ったことから、年度末残高は前年度末と比べると約7億円の減少の約62億円となった。また、平成30年度においては、前年度決算剰余金等約41億円の積立に対し、30億円の取崩しを行ったことから、年度末残高は前年度末と比べると約11億円増加の約73億円となった。(今後の方針)令和元年度は、前年度決算剰余金等約42億円を積み立てることに対し、約48億円の取崩しを見込んでいることから、年度末残高は前年度末に比べて減少するものと見込んでいる。財政調整基金については、中長期的に安定した財政運営を行う観点から、一定程度の残高は確保していく必要があるものと考えているが、現時点で具体的な積立目標額等はないことから、積立の考え方などについて整理・研究を進めている。
(増減理由)市債の償還に必要な財源を確保し、将来にわたる財政の健全な運営に資するため、基金運用益等の積立により、前年度と比べると0.4億円の増加となっている。(今後の方針)運用益等による積立により、令和元年度末残高も増加するものと見込んでいる。なお、この残高には含まれていない満期一括償還に係る積立は、全国型市場公募債(平成22年度から発行)分については1/30、住民参加型市場公募債(平成27年度まで発行)分については1/10ずつ、発行の翌年度より積立を行っており、満期一括償還に備えた減債基金の積立不足は生じていない。
(基金の使途)基金残高の多い主な基金の使途は、次のとおりである。○都市交通施設整備基金:都市交通施設を整備する事業の財源とするために設置された基金○社会福祉基金:社会福祉の増進を図る事業の財源とするために設置された基金○産業集積促進基金:産業集積の促進を図る事業の財源とするために設置された基金(増減理由)増減額が大きかった主な基金の増減額と理由は、次のとおりである。【公共施設保全等基金】(平成30年度末残高:638百万円対平成29年度末残高増減額:+534百万円)公共施設の長寿命化事業等を今後も着実に推進する必要があることから、決算剰余金見込額の一部を原資に積立を行ったため残高が増加した。【産業集積促進基金】(平成30年度末残高:762百万円対平成29年度末残高増減額:+282百万円)企業に支払う奨励金の財源とするため、平成30年度補正予算において積立を行ったとともに、令和元年度当初予算で5億円の取崩しを見込むこととしたため、30年度末残高としては一時的に増加した。【学校施設整備基金】(平成30年度末残高:411百万円対平成29年度末残高増減額:+200百万円)学校施設の長寿命化事業等を今後も着実に推進する必要があることから、決算剰余金見込額の一部を原資に積立を行ったため残高が増加した。(今後の方針)老朽化する公共施設の長寿命化事業等を着実に推進する必要があることから、その財源を確保するため、「公共施設保全等基金」や「学校施設整備基金」の残高が増加する見込みである。現在、「公共施設の保全・利活用基本指針」に基づき、施設等の長寿命化計画の策定を進めているところであるが、積立の考え方などについても整理・研究を進めているところである。
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を上回っており、その差は緩やかに拡大傾向にある。本市では、平成26年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の延べ床面積を20%削減するという目標を掲げ、老朽化した施設の集約化・複合化や除却を進めているところではあるが、昭和40年代から50年代前半における、全国でもまれに見る人口急増に伴い整備した学校施設等の老朽化により、類似団体平均値を上回っている。
債務償還比率は類似団体平均を下回っており、類似団体平均値と同様に平成30年度は前年度から低下した。平成30年度の債務償還費率は、地方交付税措置のある事業債に係る残高の比率が増加したことなどにより、前年度と比べ減となっている。
将来負担比率は類似団体平均値を大きく下回っており、また、有形資産減価償却費率は類似団体平均値を上回っている。いずれの数値も類似団体平均値の経年変化と同様の傾向にある。将来負担比率については、社会保障費の増加等による投資的経費の減少傾向等に伴い新規の市債発行が限定的になっていることなどから、類似団体平均値を大きく下回っている。有形固定資産減価償却率は、昭和40年代から50年代前半における、全国でもまれに見る人口急増に伴い整備した学校施設の既存施設の老朽化により、類似団体平均値を上回っている。こうしたことから、投資的経費の減少傾向に伴い長寿命化対策等が限定的となっている中で、過去に整備した学校等の老朽化が進んでいる状況といえる。
将来負担比率及び実質公債費比率は、いずれも類似団体平均値を大きく下回っており、また、類似団体平均値の経年変化と同様の傾向にある。平成30年度決算に基づく実質公債費比率は、元利償還金等が増加したものの、地方交付税措置のある事業債に係る元利償還金の比率が増加したことや、標準財政規模が市税の増収等により増加したため、前年度と比べると単年度では0.3ポイントの減、3か年平均は0.2ポイントの減となった。平成30年度決算に基づく将来負担比率は、標準財政規模が市税の増収等により増加したことに加え、基金残高の増加や起債残高のうち地方交付税措置のある事業債に係る残高の比率が増加したことにより、前年度と比べると5.7ポイントの減となった。
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