経営の健全性・効率性について
収益的収支比率(平成25年度84.32%→平成26年度87.30%)や企業債残高対事業規模比率(平成25年度826.59%→735.95%)、経費回収率(平成25年度78.44%→平成26年度86.85%)は近年、改善傾向にあり、平成26年度に行った下水道使用料改定(平均改定率19.87%)により、平成27年度は更に改善される見込みである。企業債残高対事業規模比率(735.95%)、汚水処理原価(138.55円)は、類似団体より高いが、本市の市街化区域の下水道未整備面積は平成26年度末で約455haであることから、今後も未整備解消を目指す必要があり、企業債の発行は不可避である。しかし、健全な下水道経営を行うためには、企業債の借入額と償還額とのバランスを考慮した企業債の発行を行う事により、地方債残高(平成26年度末残高約175.6億円)の増加を抑制するなどの経営改善に努める必要がある。経費回収率(86.85%)は下水道使用料改定により、平成27年度は全国平均(96.57%)、類似団体平均(96.91%)並みとなる見込であるが、使用料で賄う経費を全て使用料で賄う状況では無く、下水道普及率や水洗化率の更なる向上による財源の確保が必要である。
老朽化の状況について
本市の40年以上経過管渠延長は平成26年度末で約58Kmであり、下水管敷設延長に占める割合は約8.3%である。平成27年度から40年以上経過した汚水管渠約20Kmについては、上尾市公共下水道長寿命化計画に基づき、ライフサイクルコストの低減を図るため、国庫補助金を投入し、下水道管渠の耐用年数を延伸する長寿命化対策を行っている。
全体総括
下水道事業は都市の生活水準を推し量るバロメーターの1つであり、市民に対し快適な都市生活を享受できるよう事業を推進する必要がある。本市においては、今後、下水道処理区域の拡大による区域内人口の増加は見込めるものの、社会的な問題である人口減少や少子高齢化のための水需要の減少や老朽化した下水道管渠の更新投資の増大のため経営環境は厳しくなることが予見される。このことから必要なサービスを安定的に供給するためには、収入の確保や経費の削減等による経営の健全化が不可欠であり、今後もより一層の経営改善に努め、下水道事業経営の安定化を図る必要がある。