経営の健全性・効率性について
■収益的収支比率については、全ての年度で100%を下回っており、単年度収支が赤字の状況が続いているが、平成28年、30年に2段階で下水道使用料を改定したため、収益的収支比率は向上している。■企業債残高対事業規模比率については、全国平均及び類似団体平均を上回っている。これは、他の自治体等に比べ、企業債残高に対し使用料収入が過少であることが理由と考えられる。■経費回収率については、平成28年、30年に2段階で下水道使用料を改定したため、平成28年度から向上している。しかし、未だに使用料で賄うべき費用のうち約20%を一般会計からの繰入金で補てんしている状況であるため、今後も引き続き効率的な施設管理、コストの削減等に努めていく。■汚水処理原価については、その構成要素である企業債償還金の減少などにより、全国平均を下回っているものの、類似団体平均を上回っている。今後は老朽化した管渠の更新費用の増加が見込まれることからストックマネジメント手法を導入し資本費の平準化に努める。■水洗化率については、下水道未普及地区の解消を進めている段階であることから、全国平均及び類似団体平均を下回っている。下水道施設が有効に活用されるよう対策が必要である。
老朽化の状況について
平成29年度末現在、管渠総延長約1,231kmのうち、布設後50年を超える管渠は約196kmあり、老朽化する管渠の計画的な更新が必要である。
全体総括
本市の下水道事業は、下水道使用料収入の不足分を一般会計からの繰入金で補てんしている状況だが、平成28年7月に続き、平成30年7月においても下水道使用料の改定を行ったことから、各経営指標の改善が見込まれる。今後においても、適宜、適正な経費回収率などを指標とした下水道使用料について検討し、併せて水洗化率の向上への取り組みを行い、収益の確保・適正化を図る必要がある。また、施設の更新等にあたっては、ストックマネジメント手法の導入・活用し、施設のライフサイクルコストの縮減と費用の平準化を図る必要がある。以上のことを踏まえ、今後も安定的かつ継続的に下水道サービスを提供できるよう事業を運営していく必要がある。