経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び経費回収率は毎年100%を超えており、維持管理費用の削減に取り組んでいることなどから、経営改善の成果が表れているものと考えられる。流動比率は平成26年度に大幅に下がっているが、これは会計制度の変更によるもので、類似団体と比較して高い数値となっており、支払能力は高いと言える。企業債残高対事業規模比率は、企業債残高が減少傾向にあることなどから、今後も下がっていくものと考えている。汚水処理原価は類似団体の平均を大きく下回り、効率的な汚水処理が実施されていると考えている。施設利用率は降雨量の多寡に左右される部分もあるため、過去4年間との比較は容易ではないが、適正な範囲と考えている。水洗化率は類似団体と比べると高い数値を示しているが、今後も計画的な管渠整備を行い、当該値の向上を図る。
老朽化の状況について
本市の下水道事業の歴史は古く、昭和2年には管渠整備事業に着手している。ただ、それゆえに類似団体と比較して有形固定資産減価償却率や管渠老朽化率が高く、管渠等の更新や長寿命化を先んじて行わなければならない状況にある。現在は、市内で最も早い時期に整備された中心市街地の管渠について、長寿命化計画を策定し、平成25年度から長寿命化対策工事を行っている。今後は、対象地域を順次拡大し、管渠改善率を向上させていく必要がある。
全体総括
現在、本市の下水道事業は健全な経営を行っているが、節水型機器の普及などにより、使用料収入の大幅な伸びを期待することは難しい状況にある。また、管渠や処理施設の老朽化も進んでいくことから、今後、修繕や更新に係る費用が増大することが考えられる。さらに、未普及地域の解消のための管渠整備事業も引き続き実施していくため、より一層の経費削減に努めるとともに、事業の有効性等を再検証し、経営の効率化を高めていく必要がある。