経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は100%を割っている状態が続いている。収入からみると、使用料収入は微増傾向にあるものの、料金体系を公共下水道使用料と同じに設定しているために、小さな処理施設を多く抱える農業集落排水事業のコストを使用料等、収入だけではまかなえないのが現状である。一方、支出に関しては、汚水処理原価は節電等の対策を講じて、維持管理経費を抑えているものの、施設の老朽化もあり、これ以上のコストダウンは難しい状況となっている。企業債残高対事業規模比率は、現状、平均値よりも低いが、今後は処理施設の老朽化に対応するため、更新工事を計画的に実施していく必要があることから、比率の悪化が懸念される。
老朽化の状況について
前橋市の農業集落排水事業は昭和54年に最初の施設が供用開始となり、その後も処理区域を拡大させ、さらに市町村合併により施設数が増えたことから、現在、処理施設は19施設に及び、最も古いものは39年が経過している。また、設置後20年以上経過した施設が9施設、10年以上が7施設あり、全体の84%で機械電気設備の更新は急務となっている。今後、平成29年に策定した最適化構想等を反映させ、計画どおりに工事を行いたい。
全体総括
経費の削減により経費回収率はやや改善傾向を示しているものの、使用料で汚水処理費をまかなえる料金設定となっていないこと、今後、老朽化した施設の改修費が増えることから、従来の未接続者だけでなく、新たな受益者を取り込むなど、更に使用料を増やす努力をする必要がある。また、コストの削減については、公共下水道や流域下水道への接続、処理施設の統廃合の検討を始めており、将来的には、施設の数を半減するように検討を進めている。