経営の健全性・効率性について
経費回収率は64.59%、水洗化率(接続率)71.09%と類似団体と比較し平均を下回っていて、一般会計からの繰入金に依存した経営となっている。施設利用率は29.99%と類似団体と比較し下回っている。湯本処理区は主な汚水流入が観光汚水流入であり、観光シーズンピーク時の処理量と普段の処理量に差があるため施設利用率の低下に影響している。また、人口減少や大型ホテルの撤退による減少も利用率を下げる要因となっている。処理場の運転・維持管理業務については、複数年契約による民間委託によってコスト縮減を図り維持管理を行っている。企業債残高は減少傾向にあるものの今後の下水道施設の老朽化に伴うや長寿命化対策や耐震対策工事に係る債務の増加が見込まれる。また、生活排水処理構想に基づき全体計画区域の見直を行い建設改良費の縮減を図る。
老朽化の状況について
那須町には湯本処理区と黒田原処理区の二つの処理区があり、湯本処理区においては昭和59年3月に供用開始、黒田原処理区においては平成14年3月に一部供用開始を行っている。湯本処理区については供用開始から30年以上が経過し施設・管渠の老朽化が進んでいるが、管渠改善率は0.03%と類似団体(0.12%)と比較し下回っている。事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小化を図るため長寿命化計画を策定し計画的な改修を行う必要がある。また、長寿命化対策と耐震対策との整合性を図りながら工事費の縮減に努める。
全体総括
平成26年度下水道事業特別会計の歳出合計は3億8千3百万円に対し、平成26年度一般会計からの繰入金が1億7千600万円と繰入金に依存している。下水道の全体が整備されても人口全体の約15%に過ぎず負担公平の観点から適正な料金改定が必要となってきている。人口減少や高齢者世帯の増加による水洗化率(接続率)の低迷も使用料収入の増加につながらない要因となっている。今後も接続費用等の無利子貸付制度を継続的に推進すると共に戸別訪問や広報の戸別配布などの未接続対策の充実を図り経営改善に向けた取組みを行う必要がある。