経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率(%)つくば市の公共下水道事業の平成27年度の収益的収支比率は,100%を超え(102.27%)黒字状態と言えますが,今後予測される一般会計繰入金の減収や少子高齢化や節水機器の普及等による下水道使用料の減収を見据え,水洗化率の向上を目指して取り組む必要があります。②企業債残高対事業規模比率(%)料金収入に対する起債残高の割合として企業債残高規模を表す指標で,つくば市の場合は,学園都市の開発等の関連もあり,初期投資が抑えられた分,類似団体より低額で推移していると考えられます。③経費回収率(%)経費回収率は,指標は,使用料で回収すべき経費を全て使用料で賄えている状況を示す100%以上であることが必要で,つくば市の下水道事業では,僅かながらも上向いてはいるものの,過去5年間でも98%代を推移し100%に届かないことから,汚水処理に係る費用が使用料以外の収入で賄われている状況です。今後も使用料収入の確保と汚水処理費の削減が必要と考えます。④汚水処理原価汚水処理原価は,有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用であり,汚水資本費・汚水維持管理費の両方を含めた汚水処理に係るコストを表した指標で,つくば市の場合,過去5年間の経年比較では,増加傾向にあります。これは,維持管理費の増加が主因と考えられ,今後は維持管理費の削減,接続率の向上による有収水量を増加させる取組が必要です。⑤水洗化率(%)つくば市の水洗化率は,97%を超え,高い率ではありますが,使用料収入の確保のため更なる水洗化率向上の取組が必要です。
老朽化の状況について
つくば市では,筑波研究学園都市の建設に伴い布設された管渠施設の老朽化により修繕が必要な管渠が出始めているものの,全体的な改善までは至っておらず,管渠改善率は類似団体の平均値よりも低い値を示しております。しかしながら,下水道施設の老朽化が進むため,今後は,昨年度策定した長寿命化計画に沿い,改築,更新事業を進める必要があります。
全体総括
つくば市の下水道(公共)の水洗化率は9割を超え類似団体の平均は大きく上回っていますが,汚水処理原価上昇は,経費回収率の低下を招き,経営の効率性を低下させる要因となります。今後も引き続き,下水道未使用者に対する個別訪問等を強化し,下水道への接続を促すことで,使用料を増収していくことが必要です。また,通常の事業運営に加え,これから増加が予想される管渠施設の更新事業経費も見据え,財源の確保と支出の最適化を目標とした事業経営が必要です。