経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、東日本大震災からの復興事業による補助収入が落ち着いた平成25年度以降、震災による収支悪化の影響が表面化している。累積欠損比率についても同様の影響を受け、東日本大震災で被災した管渠等の撤去に係る資産減耗費増加の影響が大きく、経費回収率や汚水処理原価にも影響している。特に処理区を1ヶ所廃止したことなどにより、有形固定資産の約5割を除却し資産減耗費を計上したため、莫大な欠損金が発生している。流動比率については類似団体平均より高いものの100%を下回っている。原因は東日本大震災による料金収入減少や事業費増加による資金不足と思われる。企業債残高対事業規模比率はここ数年減少傾向にあったが、平成28年度は処理場の復旧に伴う借入があり、若干の増加に転じている。経費回収率及び汚水処理原価については、資産減耗費の増加による影響が大きいことは先に述べたとおりだが、平成28年度は特に資産減耗費が多かったため、類似団体平均に比べ50倍前後の差が生じている。平成27年度以降施設利用率が低下しているが、これは東日本大震災で発生した津波により停止した処理場の運転が再開しているためである。水洗化率は類似団体平均と比較して非常に高く、新規接続による使用料収入増加は見込み難い状況にある。
老朽化の状況について
管渠が比較的新しいことから、老朽化率は0となっている。しかし、有形固定資産減価償却率が類似団体平均値同様増加傾向にあることから、今後管路更新を念頭に置いた収支計画が必要になっていくと考えられる。一方、管渠改善率は、平成24年度~平成26年度においては東日本大震災により被災した管渠の更新業務があったが、平成27年度~平成28年度は主に被災管渠の撤去や新市街地形成に伴う新設工事が中心だったため、0になっている。
全体総括
東日本大震災が経営に大きく影響している。被災管渠の撤去工事等については、工事費自体は補助対象であるものの、撤去等によって発生する資産減耗費が莫大であり、費用増加及び累積欠損金増加の直接的な原因となっている。平成26年度から平成28年度の資産減耗費は3年間の使用料収入の30倍を超えており、累積欠損の解消は困難な状況であるが、今後も包括委託等を推進し、経営改善を図りたい。