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財政力指数は、平成22において法人事業税が前年度から6,502百万円減少するなど景気低迷の影響が大きかったため、3ヶ年平均でその影響を受ける平成24まで低下傾向にあった。復興関連需要による企業業績の回復などに伴い平成23以降は法人関係税などが増となり、基準財政収入額が基準財政需要額よりも相対的に増加しているため、単年度・3ヶ年平均ともに概ね上昇傾向にある。平成19年度に県と市町村で岩手県地方税特別滞納整理機構を設立し、税の徴収強化に取り組み、その徴収実績は95%を超えており、引き続き県税収入の確保に取り組んでいく。
主に、過去の景気対策等のために発行した地方債の償還に係る公債費が多額となっていることにより、経常経費充当一般財源が類似団体平均を上回っている(平成28:96.9%)。入札による低利資金の確保や、公的資金の補償金免除繰上償還の制度の活用などに取り組んできたところであり、引き続き、後年度償還金の抑制・縮減に努める。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額が類似団体平均を上回っているのは、主に物件費及び維持補修費が多額となっていることが要因となっている。これは東日本大震災の復旧・復興事業への対応によるものであり、物件費及び維持補修費は震災前の平成22年度決算と比較して11,594百万円の増加となっている。一方で、厳しい財政状況に鑑み、平成28年度においては、職員給与を48百万円減額する特別調整を実施し、総人件費の抑制を行っており、今後も適切に対処していく方針である。
人事委員会勧告に基づいて実施した、平成27年度における給与構造改革の昇給抑制の回復措置や、平成28年度の給与制度の総合的見直しにおける給料表の水準調整等により、ラスパイレス指数は上昇傾向にあるものの、査定昇給制度の活用や適切な昇任管理の実施により、都道府県平均や類似団体平均を下回っている。引き続き、適正な給与水準の維持に努める。
本県では、「集中改革プログラム(第1期アクションプラン改革編)」の期間(平成19~22)において、事務事業の見直しや業務プロセスの改善等により、公営企業を除く全体で1,419人を削減したところである。平成23年3月に発生した東日本大震災津波以降は、迅速な復旧・復興の実現に向けて、他の都道府県からの応援職員の受入や任期付職員等の採用を進めながら、全体としてはスリムで効率的な体制を維持してきたところであり、今後も、必要な職員数を確保しつつ、不要不急な業務の見直しを不断に行い、適正な定員管理に取り組んでいく。
実質公債費比率は類似団体平均を上回っているが、これは、国の経済対策に呼応して建設地方債・財源対策債を多額に発行してきたこと、本県の教育環境や社会インフラの充実のための公共施設の整備に積極的に取り組んできたこと等のほか、類似団体と比較して公営企業債の元利償還金に対する繰入金の割合が高いことが要因と考えられる。元利償還金の額のうち、比率低下の具体的な要因としては、公共事業等債や地方道路等整備事業債に係る県債償還額が減少したためである。公債費は、平成26年度をピークに低下しているものの引き続き高い水準で推移する見込であり、今後も公債費負担適正化計画に基づき、県債の発行額を維持・抑制するとともに、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、公債費負担の軽減に努めていく。
過去の景気対策等のために発行した地方債の残高が標準財政規模に比して多額となっている。地方債の現在高は、将来負担額の約8割を占め、1,407,168百万円となっているが、平成24年度と比べて129,151百万円減少しており、将来負担額は減少している。これは、平成15年度に「岩手県行財政構造改革プログラム」を策定し、県債の発行を大幅に抑制したことによるもので、今後においても厳しい財政状況に鑑み、県が管理可能な地方債を平成25年度の発行規模の355億円程度に維持又は抑制していく方針である。また、公営企業債等繰入見込額も類似団体と比較して高いが、これは、広大な県土面積を有する本県において、山間へき地など医療資源や公共交通機関に恵まれない地域を抱えるなど条件的に不利な事情に対応するため全国で最も多い県立病院等(20病院、6地域診療センター、2診療所)の運営を行っており、この病院の整備等の財源とした公営企業債に係る繰出金が多額に上っているためである。
近年は、人事委員会勧告に基づく給与の増額改定(平成27:月例給0.20%、ボーナス0.20月、平成28:月例給0.14%、ボーナス0.15月)により上昇傾向にあるものの、平成15年度から平成22年度にかけて1,060人の職員数を削減したことに加え、平成17年度から特別調整額(管理職手当)の特例減額等により、人件費の抑制に努めてきているため、都道府県平均や類似団体平均を下回っている。引き続き、適切な人件費の維持に努める。
物件費に係る経常経費充当一般財源等については、歳出削減努力として、需用費等の縮減に努めており、類似団体平均、都道府県平均とほぼ同率を維持している。平成24年度に、部局予算枠や一律削減方式を原則廃止し、全ての事務事業を一件ごとに精査する一件査定方式を導入するなど、今後も「いわて県民計画」の「第3期アクションプラン(行政経営編)」や公債費負担適正化計画に基づき徹底した歳出の見直しを図っていく。
扶助費は、生活保護扶助費の増等により、対前年度比は約16百万円の増となったが、近年は概ね横ばいで推移している。経常収支に占める比率は、市町村合併の影響等により、平成18年度に大きく低下して以降、ほぼ同水準となっており、類似団体平均を下回っている。
その他に係る経常収支比率は、本県特有の状況として、広大な県土面積を有し除雪箇所も多いため、除雪に係る経費が多額になっており、類似団体と比較して高い割合となっている。平成28年度決算においては、県単除雪や道路維持修繕に係る維持補修費が増加したこと等により、対前年度比で0.3ポイント上昇し、類似団体平均を上回っている。
補助費等に係る経常収支比率については、各単独補助金等の見直しを行っている。その結果、私立学校運営費補助等が減少しているが、平成28は、対前年度比で1.0ポイント増加し、経年の傾向として、介護給付費負担金を中心とする社会保障関係経費の増加により、類似団体平均をわずかに上回っている。平成28年度の当初予算編成において、55事業について廃止・縮減を図るなど、「いわて県民計画」の「第3期アクションプラン(行政経営編)」や公債費負担適正化計画に基づき、継足し補助金や各種負担金の原則廃止、零細補助金等の見直しに努めていく。
公債費に係る経常収支比率については、国の経済対策に呼応して建設地方債・財源対策債を多額に発行してきたこと、本県の教育環境や社会インフラの充実のための公共施設の整備に積極的に取り組んできたこと等から、高水準となっている。平成28年度決算では、公共事業等債や地方道路等整備事業債に係る県債償還額の減少及び借入利率の低下に伴う利払い額の減少により、対前年度比は約9,042百万円の減となったものの、類似団体平均を上回っている。公債費は、平成26年度をピークに低下しているものの引き続き高い水準で推移する見込であり、公債費負担適正化計画に基づき、県債の発行額を維持・抑制するとともに、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、公債費負担の軽減に努めていく。
実質公債費比率は類似団体と比較して高い水準にあり、また上昇傾向にあるが、上昇幅は鈍化している。実質公債費比率の上昇要因は、ここ数年、過去に借り入れた県債の償還額が高水準となっているためである。一方、将来負担比率についても類似団体と比較して高い水準にあるが、低下傾向にある。将来負担比率低下の主な要因としては、将来負担額のうち地方債現在高が減少したことや退職手当支給対象職員の減少により退職手当負担見込額が減少したことが挙げられる。将来負担比率が低下傾向にあるため、実質公債費比率についても今後は低下してくるものと想定されるが、今後も公債費負担適正化計画に基づき、県債の発行額を維持・抑制するとともに、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、公債費負担の軽減に努めていく。
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