経営の健全性・効率性について
平成30年度の下水道事業は、前年度に続き経常収支比率が100%を超え、企業債残高の割合も類似団体の水準を大きく下回っていることから、現時点では健全経営が維持されていると判断している。1年以内の債務に対する支払能力を表す流動比率が100%を下回っているのは、地方公営企業会計基準により1年以内に償還される企業債が流動負債とされることによるもので、支払い能力は担保されている。その他、類似団体との比較では、経費回収率は高く汚水処理原価は低いという良好な状況を保っている。施設利用率も望ましいとされる高い数値を保っており、水洗化率もほぼ100%に近い状態となっている。
老朽化の状況について
平成30年度の有形固定資産減価償却率は49.78%となっている。この数値は全国平均や類似団体と比較して高く、法定耐用年数に近い資産が多く将来的な施設の更新の必要性を示している。管渠老朽化率は類似団体と同程度であった前年度の数値から大きく上昇した。これは管渠のうち供用開始から50年が経過し、耐用年数を超えたものが出始めたためである。一方、管渠改善率は管渠以外の施設を更新する必要もあり、0.16%と類似団体と比べても十分な状況とは言えない。計画的に管の状態を調査し、その結果に応じて修繕、管更生又は布設替えを行い、耐用年数を超えたものも機能を維持しながら活用していく。
全体総括
下水道事業は現時点では健全な経営状態にある。しかし、経常収支比率、流動比率の数値は低下してきており、老朽化する施設の修繕費と近年の労務単価の上昇による施設の維持管理費の増加の影響が表れている。人口減少や節水機器の普及により処理水量が減り、使用料収入は減少していくため、今後は厳しい状況が見込まれる。一方で、管渠をはじめ老朽化が進む施設の維持・更新を計画的に行う必要がある。年度毎の事業費の平準化を図りながら、適切な投資を行っていく。今後は、令和元年度から10年間を計画期間とする上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率的化等により費用の圧縮に努め、使用料収入と企業債の借入れとのバランスを取りながら、より一層健全な経営を目指していく。