経営の健全性・効率性について
平成29年度の下水道事業は、経常収支比率が100%を上回り、企業債残高の割合も低い水準となっていることから、引き続き健全経営が維持されていると判断している。短期的な債務に対する支払能力を表す流動比率が100%を下回っているのは、平成26年度から適用された新地方公営企業会計基準により、1年以内に償還予定の企業債償還額が固定負債から流動負債に振り替えられたことによるもので、支払い能力は担保されている。その他、類似団体と比較しても、経費回収率は高く汚水処理原価は低いので、良好な状況を保っている。施設利用率も望ましいとされる高い数値となっており、水洗化率もほぼ100%に近い状態となっている。
老朽化の状況について
平成29年度の有形固定資産減価償却率は、前年度から1.36ポイント上昇し48.61%となっている。これは、全国平均や類似団体と比較して高い数値であり、法定耐用年数に近い資産が多いことを示している。資産のうち管渠に関しては、供用開始から50年が経過し、耐用年数を超過するものが出始めたことから、老朽化率が上昇している。今後は計画的に管内の老朽化調査を進め、その結果に応じて修繕、管更生又は布設替えを行い、順次改善していく。
全体総括
下水道事業は現時点では健全な経営状態にある。しかし、近年は人口減少や節水機器の普及により処理水量の逓減が進行しているため、今後の使用料収入が減少する恐れがある。一方で老朽化が進む管渠の維持・更新にあたっては、年度毎の事業費の平準化を図りながら、適切な投資を行っていく必要がある。今後は、平成30年度に策定予定の上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率的化等による費用の圧縮を心掛け、使用料収入と企業債の借入れとのバランスを取りながら、より一層健全な経営を目指していく。