経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については全国平均・類似団体平均と同等に、⑤経費回収率については全国平均・類似団体平均よりも良好に推移しており、いずれも100%以上の数値であることから、損益勘定の黒字構造を維持できていることが分かる。また、⑥汚水処理原価についても全国平均・類似団体平均より安価に推移できており、①⑤と合わせると「汚水処理費用を低く抑え、使用料収入で賄う安定経営」が実現できていることが分かる。⑦施設利用率・⑧水洗化率についても、高い水準を維持しており、施設設備の効率性が認められる。同様に、②累積欠損金比率は欠損なしで推移しており、④企業債残高対事業規模比率も全国平均・類似団体平均より低く、債務管理の状況もおおむね順調であることが分かる。③流動比率は100%を下回っているが、下水道事業が装置産業の形態であることの帰結であり、類似団体平均を大きく下回るものではない。
老朽化の状況について
苫小牧市の下水道は、初期の工事着手が昭和27年と早く、既に60年以上が経過している。このため、②管渠老朽化率は全国平均・類似団体平均よりも低いものの右肩上がりを続けており、今後も老朽化率の上昇は避けられない。また、③管渠改善率については、管渠更新に多額の費用を要するため、事後保全的に修繕を行ってきたことから、類似団体平均よりも低い推移となっている。
全体総括
全体として健全経営が維持されていると判断できるが、将来に対しては、少子・高齢化による将来人口の減少等に伴う下水道使用料収入の減少、施設等の老朽化に伴う維持管理経費の増大などが懸念される。このため、今後策定を予定する経営戦略やストックマネジメント計画を通じて、より計画的に、かつ効率的で健全な経営を継続できるよう、一層の努力が必要である。