経営の健全性・効率性について
経常収支比率は安定して100%を超え、累積欠損金も生じていないことから、引き続き健全な状態を維持している。一方で、老朽化した基幹管路更新のために企業債を活用してきたことにより、企業債残高は給水収益の約9.2倍と、類似団体平均よりも高くなっている。給水原価は類似団体平均より高く、それに見合う料金水準を設定した結果、供給単価も高くなっており、結果として、料金回収率も高い傾向にある。流動比率については、類似団体平均を下回っているものの、例年100%を上回っているため、支払い能力に問題はない。また、効率性について、施設利用率・契約率ともに類似団体平均を下回っており、新規ユーザーの獲得や契約水量の増加が課題となっている。
老朽化の状況について
管路経年化率は、法定耐用年数である「40年」を経過した基幹管路を現在も運用中のため、ほとんど一定の値を示している。なお、現在基幹管路の更新工事を既設管と別路線で整備しており、その完了後、支管の更新を行う計画で事業を進めている。また、管路更新率は、更新した既設管の延長の指標で、管路総延長に対する既設管撤去延長の比率である。実施中の基幹管路の更新においては、既設ルートとは別ルートに新設管を整備しており、その完了までは既設管の撤去延長が伸びないため、率も低くなっている。
全体総括
毎年度安定的に純利益を確保しており、経営の健全性は維持しているが、依然として多額の企業債残高を抱えており、中長期的に経営は厳しい状況にある。現在、老朽化した配水管の更新事業を進めており、企業債残高増が見込まれるため、安定経営のために経営の効率化や需要拡大が課題となっている。