経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は100%未満の状態となっており、処理区域内での接続率が低いことや、人口減少に伴う使用料収入の伸び率が低いことが原因と考えられる。企業債残高対事業規模比率の割合は類似団体平均値と比べて今のところ低い比率に収まっているが、今後必要な更新が増えてくることが予測されるため、計画的な投資を行っていく必要がある。汚水処理原価については、類似団体平均値よりも低く少しずつであるが減少している。施設利用率については類似団体平均値を上回っているが、水洗化率の上昇率は低くなっており、経営改善に向け接続率の向上が課題となっている。今後、有収水量を増加させ収益を確保するとともに、投資の効率化や維持管理費の削減を行い経営改善に努める。
老朽化の状況について
今後、施設の老朽化は進み、設備などの更新時期を迎えることは明らかである。さらに、東日本大震災や熊本地震等地震災害の経験を踏まえ、社会インフラの耐震化を図らなければならない状況である。本市においても、平成30年度に固定資産台帳の整備を行った。これにより老朽化した施設や経年劣化及び耐用年数の経過した機器等について長期的に耐震化を行っていく。今後はそのための財源を確保し、効率的・計画的に投資を行っていく必要がある。
全体総括
公営企業を取り巻く経営環境は、急速な人口減少等に伴う料金収入の減少や施設の老朽化に伴う更新需要の拡大等により急速に厳しさを増している。本市は平成31年度に「下水道経営戦略検討審議会」を設置し、経営基盤の強化に向け下水道使用料の改定を視野に入れながら経営健全化を目標に検討を行い経営戦略の策定を行う。建設事業については、将来を見据え投資採算性を踏まえた持続可能な整備計画を推進することが望まれる。また、接続率の向上を図るため、今後「未接続世帯戸別訪問事業」を計画している。