経営の健全性・効率性について
本町の単年度の収支は赤字となったため経常収支比率は72.48%となり、累積欠損額が増加したため累積欠損金比率も733.99%と高い指標となった。これは、本町の公共下水道事業の処理施設供用開始が平成21年度からで、未だ整備中(全体計画区域のうち平成30年度末進捗率:77.9%)であることや、少子高齢化により当初計画で見込んでいた接続件数に比較して実際の接続件数が伸び悩んでいること、加えて合併浄化槽の普及率が高く供用開始以前に既に合併浄化槽を設置していた件数が多く、新たに公共下水道への接続替えが難しいことが要因と考えられる。結果として実際に汚水処理を行っている人口の割合を示した水洗化率は65.84%で、全国平均(83.36%)や類似団体平均値(67.46%)と比較すると大きく下回っているため、経費回収率も21.01%と低く公共下水道事業にかかる経費を使用料で賄えていない。また、営業収益が低いため有収水量1㎥当たりの汚水処理原価は979.36円(全国平均:219.46円、類似団体平均値:256.82円)と突出して高く、効率的な汚水処理が行えていないことがわかる。今後も引き続き、積極的な普及促進に努め水洗化率の向上を図ることによって、健全で効率的な経営ができるよう努める必要がある。
老朽化の状況について
本町の特定環境保全公共下水道事業はの供用開始は平成21年度からで、事業開始当初に布設して以降耐用年数経過による更新は行っていないため、管渠老朽化率は0.00%である。今後はいずれ到来する更新時期を見据え、耐震化や長寿命計画等により、経費の平準化を図るなど財政面を考慮した維持管理に努める必要がある。
全体総括
本町の特定環境保全公共下水道事業は、経営の健全性及び効率性を示す指標はいずれも悪く、経営状況は極めて厳しい状況にある。今後も積極的な普及促進により水洗化率の向上に努め、地方債償還による負担を考慮し、整備済み施設の適切な維持管理を行い健全経営に向け経営の効率化を図っていく必要がある。