経営の健全性・効率性について
当市の特定環境保全公共下水道事業は、大きな集客施設であるしまね海洋館アクアスや県内屈指の海水浴場がある波子地区において、水質保全や住環境の向上を図るため、H13に事業認可を受け事業着手し、H17に供用開始したものである。①収益的収支比率は前年に比して4.24ポイントの改善となっている。これは、臨時的事業費が減少したことが主な要因である。なおH27数値が突出して高いのは、将来的な負担増に備えた臨時的な一般会計繰入金を受け入れたためである。④企業債残高対事業規模比率は、地方債償還費を一般会計繰入金で賄わなければならない状況であることからゼロになっている。⑤経費回収率は前年と比して4.13ポイント低下、⑥汚水処理原価は46.76円増加しており、類似団体の平均値と比較すると開きが大きくなっている。これらの要因としては、施設修繕費は年々増加傾向にあるが、有収水量は人口減少などの社会的要因により減少傾向にあることが考えられる。⑦施設利用率は日平均処理水量で見ると依然低い状況にあるが、稼働率はアクアス繁忙期の影響により変動が大きい。⑧水洗化率は、接続家庭の増加により、着実に伸びてきている。
老朽化の状況について
現在当市においては、老朽管の更新等を行っていないため、管渠改善率の数値は出ていないが、今後必要となるストックマネジメントに係る計画の策定等の中で、より良い将来経営にむけた管渠・処理場の老朽化対策を図っていく必要がある。
全体総括
当市の特定環境公共下水道事業は、主にしまね海洋館アクアスを中心とした事業所使用料が大きな収入源であり、こうしたことが経費回収率の年変動の要因となっている。しかし、恒常的に施設維持管理費に対して使用料等の収入が不足しており、上記のとおり増えてきた施設修繕費などに対する不足分は基金の取崩しにより対応しなければならない状況となっている。今後、対象地区の人口減少や高齢化の進行による使用料収入の逓減も懸念されるため、引き続き広報啓発等接続率の向上の取り組みやランニングコストの節減に努めるとともに、事業を継続していくための経営改善手法について検討する必要がある。