神戸市:農業集落排水施設

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経営比較分析表(2016年度)

経営の健全性・効率性について

神戸市の農業集落排水処理施設は、西区は明石川沿いの段丘地、北区は六甲山系北側の丘陵地に位置し、起伏が多く、汚水を処理場に送るための中継ポンプ場が多く必要である。また、処理水は最終的に瀬戸内海に放流されるため、水質基準が通常よりも厳しい。このため神戸市の処理場の設計排水基準も厳しく、高額の初期費用が必要であったため、企業債残高が事業規模に比べて多くなっている。維持管理費も同様で、中継ポンプ場のメンテナンスや水質の確保のための処理場運転に電力費などがかさむため、⑥汚水処理原価が類似団体平均より高くなっている。①収益的収支比率が100%を割っているのは、平成5年から平成9年にかけて設備を集中整備した際の地方債が償還期限を迎えていることが大きな影響を与えている。平成20年度で施設の整備は終了しているので、平成29年度には、地方債の償還のピークを迎え、収益的収支比率は改善に向かうと思われる。下水道使用料について、神戸市では「市内同一サービス・同一料金」を原則としており、農業集落排水の使用料は、公共下水道の使用料と同額としている。農業集落排水は公共下水道に比べて、規模も格段に小さく、非効率である。このため⑥汚水処理原価が高く、⑤経費回収率は低くならざるを得ず、不足分は一般会計からの繰入金を充てている。⑦施設利用率は、類似団体平均よりも高く、施設の利用状況は比較的良好であり、規模も適切であると考えられる。⑧水洗化率も類似団体平均よりは高くなっているが、さらなる水洗化の促進のため、戸別訪問による水洗化啓発活動を行っている。

老朽化の状況について

管渠の多くは、整備から30年未満で耐用年数を迎えておらず、大きな不具合も出ていないため、管渠の更新はしていない。今後は処理場を含めたライフサイクルコストを低減するため最適整備構想をまとめ、適切な機能保全対策を講じていく。

全体総括

神戸市の農業集落排水は、地形的要因に加え、下水道料金を市内同一サービス・同一料金としているため、経常的な費用を収益でまかなうことができていない。農業集落排水事業は、一般会計からの繰入金に依存しているため、収益の確保の取り組みが重要である。具体的には、(1)使用料滞納者に対する対策、(2)水洗化の促進を行っていきたい。また、今後多くの設備が整備後30年を迎え、機器の更新等が必要になってくるので、計画的に修繕を行い、機能維持を図ると共に、処理区の統合についても検討していきたい。農業集落排水事業は、農村環境改善、農業用排水・公共用水の水質改善に必要不可欠な施設であるため、経営戦略の策定を含め、引き続き適正な維持管理に努めていく。

類似団体【F1】

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