経営の健全性・効率性について
本町における下水処理事業が5事業ある中で、農業集落排水事業が全体の約1/3の処理人口規模となっており、平成28年度末の現在排水区域内人口は前年比▲1.99%減の4,621人の現状です。①「収益的収支比率」は、平成28年度43.67%と前年比▲2.28%低下しました。これは前年度より総収益も総費用とも減少したものの、収支バランスを配慮の上、最低限の一般会計繰入金としたため総収益の減額幅が大きかったためです。④「企業債残対事業規模比率は、本町の平成28年度一般会計負担を控除した比率では2,992.41%ですが、28年度において「分流式汚水資本費」に係る一般会計繰出金について、営業収益(使用料収入)で賄えない企業債元利償還金全額を基準内繰出金に改めたことから、本町数値は0.00%となりました。⑤「経費回収率」は、平成28年度の類似団体平均値が59.83%(前年度比7.64%上昇)ですが、本町は93.50%(前年度比43.24%上昇)となりました。これは使用料の増収等によるものではなく、④「企業債残高対事業規模比率」の見直しと同様、汚水処理費に係る企業債元利償還金を分流式下水道経費に振り替えたため回収率が上昇したものです。⑥「汚水処理原価」も、⑤「経費回収率」と同様に、汚水処理費に係る企業債元利償還金を分流式下水道経費に振り替えたため分子が小さくなり、平成28年度の類似団体平均値246.66円に対し本町は▲1.44円減の245.22円と差が修正されました。⑦「施設利用率」は、平成28年度の類似団体平均値56.00%に対し本町は▲8.87%減の47.13%となり、類似団体の水洗化率の向上による利用率上昇に対して、排水区域内人口の減少から本町では毎年利用率が低下している現状です。
老朽化の状況について
平成28年度末の本町処理施設は15地区在り、供用開始後概ね30年経過が2施設、15年経過が11施設、15年未満が2施設の状況です。設備の経年化により維持管理コストの内、修繕費が年々増加してきたことから平成26・27年度に〔農山漁村地域整備交付金制度:機能診断調査(処理場・管路)並びに最適整備構想策定〕事業を実施したところです。このため、持続可能な施設経営を図るため、維持管理費の削減を図るとともに、特定環境環境保全公共下水道施設4ヶ所も含めた統廃合等の適否化なども含め、長寿命化対策とともに低コスト運営が可能となるよう効率的な維持補修や改築等に取組む計画です。
全体総括
本町の下水道事業は現在5事業を経営中であり、旧3町ごとに異なっていた料金体系を平成23年度に従量制に統一し、現在1か月20㎥当り換算の家庭料金が4,104円と全国平均でも相当高額な下水道料金体制となっており、この高料金徴収であっても、基準外繰入金を充当しなければ赤字経営の状況です。水洗化率が平成28年度末で94.01%であっても、施設使用率が50%を割込んでいる現状において、今後も地域内人口が減少し、全施設的に老朽化対策コストが増加する事から、安定した環境保全水処理対策を維持して行くためには、汚水処理経費の一層の削減に努め、また徹底した使用料収入の確保を図りつつ、より最適な処理方法及び適正規模運営を検討し、実施して行く必要があります。加えて「広域連携]等による事業維持管理面でのコスト縮減が図れる取組が必要と考えます。