経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、繰り上げ償還のあった平成24年度を除いて、ここ数年、約70%で推移している。平成27年度には、下水道経営の健全化、受益者の負担の適正化を目的に、供用開始以来、初めての料金改定を行った。また、下水道管渠の整備に伴う起債償還金額は、ここ2・3年でピークを迎え、それ以降は減少する。このことからこの比率は上昇することが期待できる。経費回収率については、平成26年度現在、僅かにではあるが上昇しているものの類似団体の平均値と比べ、その率は下回っているが、前記のとおり平成27年度には料金の改定を行っており改善が期待できる。汚水処理原価については、平成25年度以前の過去4年は類似の団体と比べ、これを上回っていたが、年々減少し続けており、平成26年度では、類似団体の平均とほぼ同額となった。水洗化率については、平成24年度、平成26年度の新たな供用開始により、一時的に鈍りはしたものの毎年上昇し続けている。水洗化率の向上に向けた本町の取り組みとして、供用開始から一定期間を経過した区域の未接続者を中心に、職員の戸別訪問による下水道への接続のPRを実施している。
老朽化の状況について
本町での下水道事業での管渠の布設は、平成元年度からであり、平成26年度現在、25年が経過したところである。民間開発の集中浄化槽の廃止に伴い下水道への切換えにより移管を受けたエリアについて、老朽化対策による補修は行っているものの、一部、数年で耐用年数に達するものもある。今後、リスク評価に基づく維持管理等の中長期的計画である施設管理計画(ストックマネージメント)の策定を行い老朽化対策を実施する必要がある。
全体総括
この分析を基に、使用料については、今後も近隣や類似団体の状況を考慮しつつ、経営の健全化、下水道使用者の適正な負担を見据えた定期的な料金の見直しを検討していくとともに、平準化を考慮した将来の投資のあり方について各種計画との整合性も図りつつ、安易に繰入金に頼らず本町下水道事業の将来を予測した収支のバランスを考慮し、計画的に耐震化や耐用年数の延長を目指した事業への投資にも力を入れ、将来に渡り安定的に事業を継続していくことができるような下水道経営を目指していくものである。