経営の健全性・効率性について
収益的収支比率及び経費回収率は、大きな変動は無いものの少しずつ低下、汚水処理原価については上昇傾向にある。処理場機械設備等の経年劣化による修繕費用が増加傾向にあることが影響していると考えられる。下水道使用料についても、未普及解消等による新規接続が見込まれるものの、平成28年度では前年度に比べ低下した。これは、人口減少や節水傾向によるものと推測され、今後も厳しい状況が予測される。また、多治見市では平成25年度までに、将来的な処理水量の増加を見込み、処理場第7系列増設工事を実施。これにより処理能力は向上したが、現在は未普及事業の途中であり、施設利用率及び水洗化率については、今後の事業の進展により上昇が見込まれる。
老朽化の状況について
公共下水道整備から40年以上が経過し、老朽化による事故や機能停止を未然に防ぐことが重要であることから、平成24年に「多治見市公共下水道長寿命化計画(計画期間平成25年~29年度)」を策定し、主要幹線等の長寿命化対策を実施している。現在、多治見市は未普及解消事業の途中であるが、平成33年度に概ね完成予定としており、その後は老朽化対策の割合が増加することが見込まれる。また、下水道施設全体の中長期的な施設の状態を予測しながら、維持管理、改築を一体的に捉えて計画的・効率的に管理する「ストックマネジメント計画」を平成29年度~30年度にかけて策定することとしており、今後も施設全体の持続的な機能確保と、事業費の削減・平準化を図る。
全体総括
平成28年度に経営戦略を策定し、平成37年度まで10年間の事業量等を把握した上で、投資面及び財政面での見直しを行った。今後の進捗管理において、計画と実績に乖離があれば分析・検証等を行い、計画に反映させることを定期的に実施する。事業運営にあたり、収入面では人口減少に伴う使用料収入の減少、支出面では施設の老朽化に伴う修繕・更新費用の増加が予測されるため、使用料の見直し、水洗化普及促進員による水洗化率向上、不明水解消のための管の内面調査等による修繕、維持管理に係る経費の削減及び平準化に努めていく。また、平成31年度に地方公営企業法を適用することとしており、より正確な経営状況を把握した上で、経営戦略やストックマネジメント計画等との整合性を図りながら、経営の健全化を進める。