経営の健全性・効率性について
本事業は、徹底した経営の効率化・健全化の成果として汚水処理原価が類似団体企業に比べ優位となっているものの、使用料水準が比較的低いことや水洗化率の低迷などにより経費回収率が類似団体企業に比べ劣位となっており、使用料収入で汚水処理費用を賄えていない状況となっている。とくに本事業においては、企業債の十分な償還キャッシュを確保できておらず一般会計からの繰入金に頼っている状況である。収益的収支比率は上昇傾向にあるものの、その主たる原因が下水道使用料以外の収入の増加、主に分流式下水道等に要する経費を中心とする基準内繰入金(公益性の観点から、公費(一般会計)で負担するべき経費に対する繰入金)の増加である。企業債残高対事業規模比率に関しても類似団体企業に比べ劣位となっているが、近年は企業債残高は減少傾向にあり、当該指標の数値は改善する傾向にある。また、水洗化率については近年微増減となっており、依然として類似団体企業平均を下回る水準となっている。
老朽化の状況について
本事業は、大垣処理区と平町処理区、墨俣処理区の3つの処理区で構成されている。その中でも大垣処理区は昭和30年に事業着手し、供用開始(昭和37年)後50年以上が経過しているため管渠および終末処理場において耐用年数を超える施設が増加しており、老朽化による改築更新費用の増大が見込まれる。そのため、施設の延命化や維持管理費の抑制を図る必要があり、予防保全型の管理を行うことで機能停止や事故を未然に防止し、ライフサイクルコストの最小化を図っている。
全体総括
本事業では、平成28年度に下水道使用料の改定を実施し、経営基盤の強化を図ったところである。今後は、水洗化率の低迷を打破すべく、未接続世帯に対する文書や訪問による普及活動を強化・継続していく。また、平成29年度からは、大垣市浄化センターにおいて汚泥処理で発生するメタンガスを利用した発電設備を導入し、売電を開始している。当該売電収入により、一般会計からの繰入金を大幅に減少させることが期待できる。さらには、平成29年度に下水道ストックマネジメント計画を策定し、下水道施設のライフサイクルコストの低減や、予防保全型施設管理の導入による安全の確保等、戦略的な維持、修繕及び改築を行っていくとともに、当該計画に基づく更新等に対する国庫補助金を確保することにより、一般会計からの繰入金の削減に努めていく。