経営の健全性・効率性について
・企業債残高対事業規模比率が平均値を上回っており、経営規模に比べて企業債の規模が大きいことを示している。これは、下水道普及の過程で必要とされる設備投資額に対する財源を主に企業債により調達していたためである。平成28年4月から実施した下水料金の増額改定により、営業収益が増加したため、平均値に近い比率となった。・汚水処理原価が平均より下回っているにもかかわらず、経常収支比率、経費回収率がともに平均値を下回っている。平成28年4月から下水料金の増額改定を実施したため。多少の改善がみられるが、平均値よりは依然低い状況が続いている。・施設利用率は、平成28年度より単独公共下水道と流域下水道を合わせた処理水量を計上したため、類似団体平均値を上回っている。なお、単独公共下水道事業における施設利用率は、67.57%となっている。・水洗化率は、近年に整備を行った地域の水洗化率が低く、平均値を下回っている。使用料収入の増加を図るためにも、改善が必要である。・流動比率は、平均値を上回っているが、平成26年度の会計基準の見直しにより、従来まで資本勘定に計上されていた「建設改良等に充てられた企業債」が一部、流動負債に計上されることとなったため、平成26年度に大幅に低下している。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却率、管渠老朽化率は平均値を上回っている。全国でも早期に下水道整備を始めたこともあり、他団体と比較して老朽化が進行している。また、管渠改善率は平均値を下回っている。・今後10年間の財政計画(平成28年度~37年度)において、老朽化対策や耐震化など更新中心の投資を計画し、順次進めている。
全体総括
・企業債残高対事業規模比率が依然として平均より高く、企業債に依存した投資が行われたといえる。今後も、企業債残高の削減による財務の健全化を図っていく必要がある。・老朽化が進行しており、今後、限られた財源の中、施設・管渠の更新を効果的に行う必要がある。【当市の対応状況】・平成28年4月に下水料金の改定を実施。(平均改定率10.24%)・10年間の財政計画(平成28年度~37年度)を策定し、企業債残高、建設改良費の目標値を設定。現在、この計画に基づいて事業運営に取り組んでいる。