経営の健全性・効率性について
当市は、管路整備済みの地域でも、地下水を利用する市民が多いため、他自治体に比べて、極端に給水量が少ないという特徴がある。①経常収支比率は概ね100%で推移しており、②累積欠損金もなく、健全な経営状態にあるといえるが、経常収益の約35%を一般会計繰入金(補助)に依存しており、経常費用の削減に努めるとともに、水道加入者の増加に努める必要がある。③流動比率は、流動資産(現金預金)は増加傾向にあり平均値を大きく超えている。今後の施設更新に備え、引き続き内部留保資金を確保する必要がある。なお、H25年は、工事費未払金(分母)が少なかったため、高率となっている。④企業債残高対給水収益比率については、近年、幹線や拠点避難所などへの管路拡張整備を行っていることから、企業債残高は高止まり状態が続き、当面、現水準が継続することが見込まれる。⑤料金回収率は、人件費、減価償却費等の固定費が影響して、⑥給水原価がかさむことから、平均値を下回っている。⑦施設利用率は、類似団体平均値並みであったが、計画的な施設更新による⑧有収率の上昇により、低下傾向にある。今後は、給水人口の減少に伴い給水量、配水量ともに減少することが予想されることから、施設の更新時には統廃合やダウンサイジングを検討する必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は逓増しているが、当市の上水道の創設は昭和54年であり、管路を含め、現時点で法定耐用年数を超えるものは少ない。③管路更新率は、近年、重要な配水本管の更新(耐震化)を進めているため類似団体平均値と同水準となっているが、管路以外の施設も含めて、今後の施設更新ピーク時期に負担が集中しないよう、適切な修繕による延命化を図るとともに、現施設の安全性を考慮して、今までどおり計画的な施設の更新を行う必要がある。
全体総括
当市は、古来より地下水豊富な土地柄で、市街地の多くの市民が地下水を生活用水として使用してきた。そのため、上水道の創設も昭和54年と比較的新しく、整備済み区域も水質難地域、主要幹線整備地域などの一部に限られており、管路整備済みの地域でも、地下水を利用する市民が多い。一方、市民生活の安全安心を守るため、市の施策として災害時の拠点避難所などへの管路整備や管路の耐震化を進めているが、地下水利用の市民が多く、直接には水道加入者の増加にはつながらない傾向にある。現在は、一般会計からの繰入により経営の健全性は保たれているが、今後の更新需要や拡張事業を進めるに当たり、市民生活の安全安心を守るという市の施策的側面はあるとはしても、一般会計繰入金の依存が過度とならないよう、給水収益の増加や経常費用の削減、計画的な施設の更新に努め、健全経営を堅持していく。