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2012年度
指定団体等の指定状況
財政健全化等財源超過首都近畿中部過疎山振低開発指数表選定
人口の推移
産業構造
財政比較分析表(2019年度)
財政力
財政力指数の分析欄
特別区税収入などの自主財源比率が低く、財政調整交付金や国・都支出金の依存財源の割合が高いのが本区の特徴である。財政力指数は0.40前後で推移しており、類似団体平均値を下回る状況に変化はない。財政力指数は基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値の過去3年平均で求めているが、財政力指数が0.01ポイント減少した理由は、平成30年度より分子である基準財政収入額の伸びより、分母である基準財政需要額の伸びが大きかったことによるものである。特に基準財政需要額に公共施設改築工事費が臨時的に算定されたことが大きいと考えられる。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
分母にあたる経常的一般財源等(歳入)は、財政調整交付金や地方特例交付金、特別区税などの増により、1,709億円(+3.9%)となった。一方、分子にあたる経常経費充当一般財源等(歳出)は、学校のICT環境整備などの物件費や私立保育園等委託費などの扶助費の増により、1,287億円(+2.4%)となった。その結果、経常収支比率は75.3%となり、平成30年度より1.0ポイント減少し、適正範囲の水準にとどまっている。比率減少の要因は、分母の伸びが分子の伸びを上回ったことによるものである。類似団体と比較して低い水準となっている。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
児童相談所の開設に向けた人件費の増、学校のICT環境整備などによる物件費の増などにより、平成30年度より一人あたりの決算額が4,571円増加となっている。本区の人件費・物件費等決算額が、類似団体の中でも低い水準となっているのは、これまで培ってきた健全財政への取り組みや施策の見直しなどによる不断の行財政改革の成果による影響が大きいと分析している。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
23区の中で最も低い水準にある。これまで組織の効率化を進め、組織の合理的な運営に努めてきた成果である。令和元年度ラスパイレス指数は0.6ポイントの減となった。その主な要因は国の給料表が引き上げられたのに対し、本区の給料表は引き下げられたこと、高齢層職員の昇給抑制措置および行政系人事制度改正により、現給保障が適用されていた職員の退職による影響である。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
依然として23区の中でも低い水準にある。健全財政を推進するため、現業職員の退職不補充や指定管理への移行をはじめ、庁舎管理等の内部事務や学校給食調理業務の民間委託を進め、職員数抑制に努めてきた成果である。健全財政の取組み前(平成12年度)の職員数5,057人に比べ、令和2年4月1日現在では3,792人となり1,265人(25%減)の減となった。昨年度と比較して職員数は49人増加したが、主な増員理由は児童相談所開設などである。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
類似団体の中で低い数値となっているものの、4年連続して上昇している。主な要因は財調普通交付金の増などにより、計算上分母にあたる標準財政規模が増となったことによるものである。令和元年度に区債を繰り上げ償還したため、平成30年度以降は比率が下がるものと分析している。起債については将来世代への負担となるため、必要性を十分検討のうえで判断していきたい。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
将来負担額は区債残高と退職手当負担見込額等を合わせて288億円であったのに対し、充当可能財源等は充当可能基金額などを合わせて3,063億円となった。充当可能財源等が将来負担額を上回ったため、計算結果がマイナス値となり、将来負担比率は算定されなかった。これは積立基金を一定額保有していることと、少ない区債残高によるものである。特に令和元年度については、平成30年度と比べ充当可能財源等が横ばいに対して、将来負担額は区債の繰り上げ償還を行なったことにより133億円減少した。今後も起債と基金の管理を適切に行い、将来世代に負担を先送りしない効率的な財政運営を行っていく。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)
人件費
人件費の分析欄
令和元年度の指標が0.5ポイント改善した理由として、人件費充当経常一般財源が微増に対して、分母である歳入経常経費充当経常一般財源の総額(特に財政調整交付金)の伸びが大きかったことによるものである。また、ここ数年類似団体と比較して低い水準を維持しているが、これは健全財政を推進するため、現業職員の退職不補充や指定管理への移行をはじめ、各種民間委託を進め、職員数抑制に努めてきたことが大きな要因である。今後も区民サービスの質の維持を図るべく、不断の努力を継続していく。
物件費
物件費の分析欄
令和元年度は0.9ポイントの増となり、これで3年連続の増となった。主な要因は学校のICT環境整備に伴う増などにより28億円の増(9.1%増)が、分母である経常経費充当経常一般財源の伸び(3.9%)より大きかったためである。今後も事業の外部委託化などによる増要因はあるが、適正な委託のあり方を常に検討する努力を続けていく。
扶助費
扶助費の分析欄
令和元年度は0.8ポイントの改善となった。主な要因は、分子である待機児童対策に係る私立保育園等委託費の扶助費の増があった一方、分母である経常経費充当経常一般財源(特に財政調整交付金)の伸びが大きかったことによるものである。類似団体内順位は昨年度より3ランクアップして17位となっているが、依然として国・都の平均を大きく上回る状況に変わりはない。平成16年度以降、施策の見直しを行ったタイミングを除き増加を続けていたが、令和元年度は改善された。
その他
その他の分析欄
令和元年度は0.2ポイント改善した。主な要因は水門等の維持補修工事費などの減や特別会計への繰出金の増、あわせて指数の分子は増になったものの、分母である経常経費充当経常一般財源(特に財政調整交付金)の伸びが大きかったことによるものである。今後は施設の老朽化に伴う維持補修費の増や高齢化の進展に伴う介護・後期特別会計への繰出金の増が見込まれるため、将来負担を見据えた予算管理に努めていく。(「その他」の内訳は、維持補修費、貸付金、繰出金)
補助費等
補助費等の分析欄
令和元年度は4.3%でここ5年間で一番低い数値となった。これは私立保育園の増による私立保育園等委託費の増もあったが、それ以上に幼児教育・保育の無償化により、保護者負担軽減補助費などの減の要因が大きかった。本区は保育ママ助成、中小企業への利子補給・信用保証料補助等の独自事業を多く展開しているため、今後も大きな数値の変化は見られないと分析している。
公債費
公債費の分析欄
指標は類似団体と比較して低くなっており、令和元年度は0.1ポイント改善された。主な要因は過年度起債の償還終了により公債費が10.5%の減となったことや、分母である経常経費充当経常一般財源(特に財政調整交付金)の伸びが大きかったことによるものである。なお、令和元年度に繰り上げ償還したことにより、令和2年度以降さらに指数が減少するものと考えられる。
公債費以外
公債費以外の分析欄
令和元年度は0.9ポイント改善された。主な要因は分子である人件費・扶助費・物件費・繰出金が増、維持補修費・補助費等が減、差し引きトータルで33億円増加たが、それ以上に歳入経常一般財源等が伸びた(64億円)ためである。ここ数年指標は類似団体平均よりも低くなっているが、少子高齢化への対応による扶助費や介護・後期特別会計への繰出金の増加が見込まれるため、今後も限られた財源で最大の区民サービスが実現できるよう、健全財政の堅持に努める。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
目的別歳出の分析欄
本区の歳出の5割以上を占める、民生費は200,966円で平成30年度比6,704円の増となり、平成30年度の高止まりの状態から一転、増加となった。主な要因は私立保育園等委託、児童相談所の建設などの増である。総務費は40,472円で平成30年度比11,400円の減となっているが、主な要因は大型区民施設及び庁舎等整備基金への積み立てが8,981百万円減少したことによるものである。商工費は4,001円で平成30年度比2,050円の増となっているが、主な要因はプレミアム付商品券事業の1,409百万円増によるものである。土木費は29,492円で2,848円の減となっているが、主な要因は上篠崎一丁目北部土地区画整理事業の進捗状況による減である。消防費は4,258円で2,895円の増となっているが、主な要因は災害対策基金への積立によるものである。公債費は19,304円で昨年度比16,376円の大幅な増となっているが、主な要因は区債の繰り上げ償還によるものである。また、災害復旧費、諸支出金、前年度繰上充用金の実績はない。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
性質別歳出の分析欄
歳出決算総額は、住民一人あたり374,993円で平成30年度比13,066円の増となっている。歳出のうち最も大きい割合を占める扶助費は、住民一人あたり138,792円で37.0%を占める。平成30年度比4,068円の増で、平成24年度以降7年連続で増加している。主な増要因は施設増による私立保育園等委託や児童扶養手当が法改正により支給回数が増加したことによる臨時的な増などである。令和元年度も依然として類似団体平均を超える位置にあるものの、平成30年度比が類似団体を下回った結果、類似団体平均との差は縮まった。物件費は57,972円で平成30年度比3,634円の増となっている。主な要因は学校のICT環境整備による増にである。補助費は19,540円で平成30年度比2,619円の増とはなっているが、幼児教育・保育無償化に伴う施設等利用給付費やプレミアム付商品券事業などの増によるものである。公債費は18,565円で平成30年度比15,637円の大幅な増となっているが、主な要因は区債の繰り上げ償還したことによるもので、令和2年度以降は平準化される。また、本区は学校や公園、道路などが数多くあるため、維持補修費が類似団体と比較しても一人あたりのコストが高い状況が続いている。
実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)
分析欄令和元年度は実質収支額99億円、実質収支比率は5.86%で平成30年度比0.34ポイントの増となった。財政調整基金残高の割合は、分子である基金残高は利子分の積立で微増(+0.02%)した一方、分母である標準財政規模の伸び(+4.4%)が分子より大きかったため、平成30年度より比率が下がった。また、実質単年度収支は、区債を112億円繰り上げ償還した結果、平成30年度より比率が大きく上昇した。
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連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)
分析欄一般会計、各特別会計を含めた全会計での実質収支は、現方式での分析を始めた平成19年度から連続で黒字となっている。
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実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄令和元年度の元利償還金は平成30年度比で214百万円の減となったが、同時に繰り上げ償還したため、今後は大きく減少していく。組合等への元利償還金に対する負担金等は5百万円の増で2年連続して増となった。算入公債費等(総務大臣が定める額)は221百万円の減で4年連続して減少した。その結果、実質公債費比率の分子は12百万円増加した。
分析欄:減債基金満期一括償還地方債については、平成28年度に償還が終了して以降は新規の借入がない。残高についても平成30年度末までは利子積立て以外に大きな変動はない。
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将来負担比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄地方債の現在高については繰り上げ償還したことにより12,720百万円の大幅な減となり、類似団体内でも特に低い水準となっている。充当可能基金については6,477百万円の増となり、4年連続して増加している。基金については設置目的に合わせて適切に積み立てを行っている。平成19年度以降毎年、充当可能財源等が将来負担額を上回っているため、将来負担比率はマイナスとなり、将来負担比率は発生していない。今後、同等程度の規模で推移していくと考えられるが、老朽化する公共施設の更新が本格化するのに伴い、基金の取り崩しが行われ将来負担比率に影響を及ぼすことが見込まれる本区は、依存財源の割合が高いため、今後も健全財政を堅持しつつ、計画的な資金の活用をに立った財政運営を継続していく。
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基金残高に係る経年分析(2019年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)公共施設の老朽化に伴う今後の改築需要への対応で大型区民施設及び庁舎等整備基金に82億円積立て、教育施設整備基金は、学校改築の計画に沿って33億円積立て、令和元年度整備分を23億円取り崩した。また、台風19号等関連で災害対策基金を10億円取り崩し、今後の災害に備えるために20億円積立てた。(今後の方針)大型のスポーツ・文化施設や本庁舎、小中学校など、建設から40年あるいは50年を経過する施設が多数存在する。老朽化する大型区民施設の整備・再編、新庁舎の整備、学校改築や大規模災害等に備えて計画的に積み立てていく。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)基金利子を積立てたため。(今後の方針)再度リーマンショック級の経済危機に耐えられるよう現行の残高を維持していく。
減債基金
減債基金
(増減理由)繰上げ償還したため、その財源の一部として16億円取り崩した。(今後の方針)急激な景気変動に備え、公債費相当の現残高を維持していく。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)大型区民施設及び庁舎等整備基金:大型区民施設及び庁舎等整備資金教育施設整備基金:学校の整備資金JR小岩駅周辺地区等街づくり基金:JR小岩駅周辺地区等の総合的な街づくりの資金災害対策基金:災害の予防及び応急対策並びに復旧等に要する資金(増減理由)大型区民施設及び庁舎等整備基金:公共施設の老朽化に伴う今後の改築需要への対応で大型区民施設及び庁舎等整備基金に81億円積立てた。教育施設整備基金:学校改築の計画に沿って33億円積立て、令和元年度整備分のために23億円取り崩した。JR小岩駅周辺地区等街づくり基金:事業進捗状況により令和元年度分9億円取り崩した。災害対策基金:台風19号等関連対応のために10億円取り崩し、今後の災害に備えるため20億円積立てた。(今後の方針)今後の公共施設の改築経費について、現状と同じ規模で改築した場合、改築に要する概算額は4,500億円程度と推計されているので、大型区民施設及び庁舎等整備基金、教育施設整備基金は将来需要に備えて計画的に積み立てていく。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
本区の有形固定資産減価償却率は類似団体より低い状況にある。しかし、本区の公共建築物の多くは、昭和30年代から昭和50年代に集中して建設され、多くの施設は建設後30年以上が経過している。今後、更新または大規模改修が必要となる施設が多数存在し、公共施設の老朽化への対応が喫緊の課題となっている。こうした状況を踏まえ、平成29年3月に公共施設等総合管理計画を策定した。今後は、将来人口の、年齢構成の変化、施設需要の変化等を注視しながら、施設の維持管理、更新、長寿命化や統合・廃止を検討していく。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
本区では、長年にわたり行財政改革を取り組んできたことにより、債務償還可能年数の算定式において、分子である充当可能財源等が将来負担額を上回っているとともに、分母である経常経費充当財源等も経常一般財源等を上回っている。そのため、債務償還可能年数が「-」となっており、類似団体でもトップの水準を維持している。今後も過度な将来負担をしないためにも、健全財政の維持と計画的な資金の活用に努める。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
自主財源の少ない本区では長年にわたり、民間活力の導入や組織のスリム化、収入確保の取組みなどにより健全財政を堅持し、将来世代に負担を先送りしない財政運営を行ってきた。このことにより、将来負担比率の指数がマイナス(グラフ上は0)となり、将来負担は生じていない。有形固定資産減価償却率は、類似団体より低い傾向にある。しかし、本区の公共建築物の多くは、昭和30年代から昭和50年代に集中して建設され、多くの施設は建設後30年以上が経過している。今後、更新または大規模改修が必要となる施設が多数存在し、将来負担費用の増加が見込まれる。今後、基金の活用を図りながら、将来世代に負担を先送りしない計画性、持続性のある行財政運営を推進していく。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
将来負担比率は算定式においても、充当可能財源等が将来負担額を上回るため、将来負担比率の指数はマイナス(グラフ上は0)となり、将来負担は生じていない。実質公債費率についても算定式において、算入公債費等が公債費の元利償還金を上回りマイナスとなっており、適正な水準となっている。今後、学校改築や老朽化する公共施設の更新に伴い、基金の取り崩しが生じることが見込まれる。
施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)
施設情報の分析欄
本区の公共建築物の多くは、昭和30年代から昭和50年代に集中して建設され、大部分の施設は建設後30年以上が経過し、老朽化が進んでいる。類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、公営住宅、児童館、体育館・プール、保健センター・保健所、福祉施設、庁舎である。これらの施設の有形固定資産減価償却率の類似団体順位に着目すると、上位のものが散見される。学校施設については、他の類似団体並みの有形固定資産減価償却率となっているが、2027年までに本区の有する小中学校の約3分の2が建築から50年が経過する状況にあり、改築時期を一斉に迎えている。本区は既に学校改築事業に着手しており令和元年4月時点で10校の改築が終了し、10校の改築計画を進めている状況にある。年少人口の減少が見込まれることから学校の統廃合を含めた適正配置を検討していく。
施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)
施設情報の分析欄
本庁舎については、全棟が建設から30年以上が経過しており、特に本庁舎南棟にあっては建設から約60年が経過し老朽化が深刻である。また、機能面からみても課題があり、行政需要の拡大に伴い、執務スペースが不足し、近隣民間建築物の借受て執務スペースを確保している状況である。庁舎の一人あたり面積が全国平均、東京都平均を大きく下回り、類似団体の中で最下位の水準である。こうした状況を踏まえ、平成30年度末より新庁舎建設基本構想・基本計画策定委員会を発足し、新庁舎の建設に向けて検討を開始したところである。施設の再編、整備に係る検討を進めていく必要がある。
財務書類に関する情報①(2019年度)
1.資産・負債の状況
・一般会計等においては、資産合計が前年度末から21,316百万円増加となった。資産合計のうち約98%が固定資産であり、固定資産のうち約85%をインフラ資産が占めている。負債合計は、前年度末から12,965百万円減少となった。地方債等の繰上償還をしたことなどにより11,146百万円減少したことが主な要因となっている。資産規模に対して負債は非常に小さく、これまで健全財政を維持し、将来世代に負担を先送りしない財政運営に取り組んできた結果が表れている。資産規模の大きさから、今後固定資産の維持経費の増大などが発生する可能性があるため、公共施設総合管理計画に基づく適切かつ計画的な施設管理を行っていく必要がある。国民健康保険事業等の特別会計を加えた全体では、資産合計は前年度末から21,299百万円増加となった。また、負債合計は前年度末から12,966百万円減少となった。特別会計の長期延滞債権と未収金は資産合計の約45%を占めており、保険料の収納率向上や滞納整理の取り組みを推進していくことが必要である。東京二十三区清掃一部事務組合等を加えた連結では、資産合計は前年度末から20,598百万円増加となった。また、負債合計は前年度末から12,783百万円減少となった。
2.行政コストの状況
・一般会計等においては、経常費用は228,628百万円となり、前年度比7,828百万円増加(+3.5%)となった。そのうち、人件費等の業務費用は96,050百万円(前年度比△3,870百万円)、補助金や社会保障給付等の移転費用は132,578百万円(前年度比△3,957百万円)である。経常費用に占める移転費用の割合は約58%と大きくなっており、社会保障給付が移転費用の約70%を占める。今後も高齢化の進展などによりこの傾向が続くことが見込まれるため、事業の見直しや介護予防の推進等により費用の抑制に努める。また、資産規模が大きいため維持補修費や物件費等施設管理に係る経費が極端に増加しないよう、資産のコスト管理を計画的・効果的に運用していく必要がある。・全体においては、国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者医療事業の特別会計が含まれ、特別会計の費用のほとんどを移転費用が占めるため、経常費用のうち移転費用の割合が約69%と大幅に上昇する。長期的には移転費用は増加していく見込みであるので、充分注意が必要である。・連結においては、連結対象団体の事業収入(主に特別区競馬組合の事業収入)が計上されるため、全体に比べ経常収益が9,787百万円増加し、経常収益は全体と比べほぼ倍になっている。
3.純資産変動の状況
・一般会計等における本年度差額は、財源が純行政コストを上回り、これに伴い純資産も34,283百万円増加となった。財源の主な内訳として、財政調整交付金、特別区民税などの税収と国・都等の補助金となっている。都市計画道路等のインフラ資産の整備、学校改築のため有形固定資産が増加したことが純資産の増加に寄与した。全体においても、本年度差額は財源が純行政コストを上回り、これに伴い純資産も34,264百万円増加した。国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者医療事業における保険料収入が税収等に含まれるため、税収等は一般会計等に比べて41,432百万円増加した。なお、一般会計等に対し有形固定資産の増加はない。連結においては、東京二十三区清掃一部事務組合等において本年度差額が赤字となったことが影響し、全体と比べて本年度差額は203百万円減少した。連結純資産残高は、連結団体の本年度純資産変動額が△883百万円であったため、全体の本年度純資産変動額より増額幅は小さいものの33,381百万円増加した。
4.資金収支の状況
・一般会計等においては、業務支出の主な内訳は、社会保障給付支出が92,703百万円、物件費等支出が54,742百万円、人件費が35,103百万円などとなっており、一方、業務収入は財政調整交付金及び区民税等の税収等収入が175,346百万円、国都等の補助金が71,436百万円などで、業務活動収支は34,159百万円の黒字となった。また、業務活動収支と投資活動収支をあわせると15,836百万円と黒字であり、投資活動支出の基金積立金(資産を増やす支出)13,539百万円を差し引いても2,297百万円の黒字となり、財政の均衡が図られている状況である。財務活動収支は、地方債償還経費が地方債等発行収入を上回っていて、負債増加はないことから、資金収支上の問題はないといえる。・全体においては、本年度資金収支差額は3,264百万円の黒字となった。これは、国民健康保険事業会計において法定外繰入金の削減や医療保険制度改革の影響等により業務収支が前年度に比べ7,076千円増加したためである。一般会計等に加わる国民健康保険事業特別会計及び後期高齢者医療特別会計においては、資産形成や地方債の借り入れがなかったため、投資活動収支及び財務活動収支はない。また、介護保険事業特別会計においては、介護準備基金積立及び取崩しにより△143千円の投資活動収支が発生している。
財務書類に関する情報②(2019年度)
1.資産の状況
・住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率は、類似団体平均値に比べて非常に高い水準となっている。これは、昭和59年度以前に取得した道路、河川等の敷地についても取得価格を推計して計上していることが大きな要因である。ただし、インフラ資産が資産の約85%を占めていることから、公共用施設に関しては資産全体に占める割合はそれほど大きくはない。・有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値に比べて低い水準となっているが、道路資産について取替法を採用していることが大きく影響している。これを加味すると約48%となる。資産規模が大きく、保有している施設数も多いことから、個別の施設では施設更新の検討を要するものも多い。施設の再編統廃合を含めて検討を始めており、将来の施設需要を見据えた適正な規模の資産構成を検討していく必要がある。
2.資産と負債の比率
・純資産比率は非常に高く、一方で将来世代負担比率は非常に低い状況となっている。このことから、資産規模は大きいが将来世代への負担は低くなっていると言える。今後は老朽化した施設の更新費等が大きくなるリスクが存在するので、将来の施設需要を見据えた適正な規模の資産構成を検討していくことが必要である。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは、類似団体平均値と比べて低い水準となっている。社会保障給付をはじめとした移転費用が今後も増加する見込みなので、引き続き健全財政を堅持し、計画性、持続性のある行財政運営が必要である。
4.負債の状況
・住民一人当たり負債額は、類似団体平均値に比べて低い水準となっている。将来世代負担比率も低く、負債の規模は非常に低い状況となっている。・基礎的財政収支は23,615百万円の黒字となっており、類似団体平均値に比べても非常に高い水準となっている。基礎的財政収支の黒字の要因である業務収入は、財政調整交付金や特別区税の影響が大きい。それらの収入は景気に左右されやすい構造のため、景気の動向を注視していく必要がある。今後も将来世代へ負担を先送りすることのない安定した財政基盤の構築を進めていく必要がある。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は、類似団体平均値に比べて低い状況となっている。住民一人当たりコストや、基礎的財政収支の数値を踏まえると、現段階において受益者負担の見直しする状況ではないと考える。今後、税収の減少や施設の維持管理コストの上昇など状況の変化があれば、受益者負担の在り方の変更を検討することが求められることになる。
類似団体【特別区】
千代田区
中央区
港区
新宿区
文京区
台東区
墨田区
江東区
品川区
目黒区
大田区
世田谷区
渋谷区
中野区
杉並区
豊島区
北区
荒川区
板橋区
練馬区
足立区
葛飾区
江戸川区