経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、単年度における収支「①経常収支比率」が示すように115.71%と、経常利益が黒字となっているが、「⑤経費回収率」を見ると75.79%であり、本来使用料で回収すべき経費を全てまかなえていない状況にある。このため、歳入においては、水洗化率の向上による使用料収入の増、歳出においては、汚水処理に係る経費の削減などを推進するなど、経費回収率の向上に努め、引き続き経営の健全性を確保する必要がある。また、支払能力を示す「③流動比率」においては、59.15%で類似団体平均値78.62%を下回っているが、一定規模の流動資産を確保していることや、一時借入金の実績がないことなどから、短期的な債務に対する支払能力については問題はない。債務の状況を示す「④企業債残高対事業規模比率」は、568.75%で類似団体平均値658.60%をやや下回っているが、今後も計画的な投資により適正な債務残高の維持に努める必要がある。次に、経営の効率性については、費用の効率性を示す「⑥汚水処理原価」が150.00円と、1㎥あたりの汚水処理原価が類似団体平均値147.15円をやや上回っている。また、汚水処理原価の算定に用いる有収水量は経年で比較すると減少傾向にあるため、接続率の向上による有収水量の確保などの措置が必要となってくる。また、施設の効率性を示す指標として、年間有収率が78.91%、「⑧水洗化率」が93.68%となっており、おおむね効率的に運用できている。「⑦施設の利用率」については、処理施設を有していないため、該当しない。
老朽化の状況について
施設全体の減価償却の状況を示す「①有形固定資産減価償却率」は18.74%と類似団体平均値31.92%と比較して低い数値となっているが、これは、供用開始の新しい施設も有しているためであり、償却資産の種類ごとにみると、差異がみられる。管渠については、昭和56年の供用開始から、35年を経過している。現在は、「②管渠老朽化率」0%、「③管渠改善率」0%が示すように、法定耐用年数を経過した管渠は保有しておらず、管渠の更新投資・老朽化対策については実施していない。しかし、今後は下水道管路長寿命化計画の策定により、更新事業が予定されていることから、適切な施設の維持管理を行いながら、所要の財源確保に努める必要がある。
全体総括
引き続き、有収率や水洗化率の向上に努め、施設の効率性を確保しながら、施設の老朽化対策を計画的に進めていくこととする。また、施設の更新事業に対する所要の財源確保のため、適正な債務残高を維持しながら、水洗化率の向上による使用料収入の増や適切な施設の維持管理による汚水処理費の減に努め、経常利益の確保や経費回収率の向上など、経営の健全化も併せて図ることとする。