経営の健全性・効率性について
当事業は八幡地域と平田地域で実施した市単独による合併処理浄化槽事業で、特定地域生活排水処理事業への切り替えに伴い平成18年度をもって事業が完成している。水洗化率は100%であるが、平成27年度の処理区域内人口は200人程度である。「収益的収支比率」は年々下降しており、要因は維持管理費の増加と使用料の減少である。現在の経営状況としては、使用料では維持管理費の6割程度しか賄えず、残りと公債費全額は一般会計繰入金に依存している。「汚水処理原価」は若干増加傾向で、「経費回収率」はわずかに下降傾向であるが、これは主に施設の老朽化により維持管理費が増加傾向になっているためである。平成27年度は使用料が若干増加したため、「収益的収支比率」と「経費回収率」がわずかに上昇し、「汚水処理原価」はわずかに減少している。当事業は事業規模が小さく、数万円の変動でも各比率等に顕著に表れる。「施設利用率」は、平成26年度まで20%台と低い比率になっていたが、平成27年度に合併処理浄化槽の処理能力を実態に合うよう見直した結果、類似団体とほぼ同率になるまで上昇している。平成23年度から26年度までを見直し後の処理能力で算出したうえで各年度の「施設利用率」を比較すると、人口減少や世帯分離などにより、合併処理浄化槽1基当りの使用人数が年々減少しており、それに比例して施設の利用率についても下降傾向にある。
老朽化の状況について
公共下水道と農業集落排水の区域以外を対象に平成16年度から平成18年度にかけて整備を行っており、古いものでは設置後12年が経過している。現在のところ、合併浄化槽については大きな不具合等は生じていないが、中山間地域の空家等の増加により、浄化槽の休止など稼働率が下降傾向にある。高齢化率が高く、将来人口も大きく減少が予想される中で、今後は施設の老朽化が進む傾向にある。
全体総括
使用料が人口減少や節水などにより減少して行く見込みが高く、維持管理費は施設の老朽化に伴い年々増加傾向であるため、今後もさらなる費用の削減を図る必要性はあるとはいえ、それでも使用料で賄えない維持管理費と公債費については一般会計繰入金に依存しなければならない状況が続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用する予定であるが、事業単位ではなく下水道事業全体でのさらなる経営改善に努めるため、法適用企業として策定する経営戦略に、施設利用率の改善につながる戦略的要素をどれだけ盛り込んで行くことができるのかが重要になってくる。