経営の健全性・効率性について
・収益的収支比率に関しては、平成24年度以降比較的横這い傾向となっている。これは、使用料金収入については、供用開始以降の新規接続で水洗化率の向上に伴い増益となっているが平成29年度で微減となった、更に経年劣化に伴い施設の維持管理費が増大傾向となり、他会計繰入金が増加することとなり総収益が漸増していることによるものである。・下水道使用料が水道料金と連動している関係もあり、料金改定がほとんど実施されていない反面、汚水処理費は修繕コスト増大等により維持管理費が増加傾向にあることが大きな要因となり、経費回収率の低さに繋がっている。・今後、下水道事業経営の健全化、効率化を図る観点から、公営企業会計移行も視野に入れ、営業収益の増加に向けて、将来の水道料金改定と併せて下水道使用料の改定も実施することにより増収を図る必要がある。・施設の経年劣化に伴う維持管理コストは年々増大していくと考えられ、下水道の持続的な機能確保(長寿命化)のための計画的な維持管理を推進するために、ストックマネジメントの本格的な導入等を行うとともに、費用の年次計画的な支出額を想定し平準化も図りつつ、加えて町広報等による住民啓発を推進し接続率の向上により収益の増加を図るものとする。
老朽化の状況について
・本町は、平成17年11月旧湯田町と旧沢内村の合併により誕生したが、それぞれが平成15年度に公共下水道を供用開始しており、今年度で15年目を迎えた。・下水道施設については、町内2箇所の浄化センター、59箇所のマンホールポンプ場、加えて、布設延長約56㎞と広範囲に汚水管が布設されており、経年劣化が徐々に進行しており、特に、マンホールポンプ及び制御・通信装置系、あるいは汚水処理場における水処理系設備機器の故障や不具合が頻発するようになってきており、今後老朽化が一段と進行する状況で、施設維持管理コストは年々増大する傾向にある。
全体総括
本町は、人口減少率が県内で最も高い実態において、下水道施設の資産規模に比べ、営業収益(料金収入)の増大を見込めないことが、経営の健全性と効率性の向上にとって大きな課題となっている。管路延長が大きく、しかも地形のアップダウンによるマンホールポンプの設置箇所が多く、汚水圧送に必要な電気コストが膨大である。加えて積雪寒冷地帯のため他地域と比べ電気計装設備の劣化進行が早く、故障・不具合の多発により修繕費等の経費増大を招いている。よって、県平均の倍以上の汚水処理原価にある実態については、施設維持管理コストの低減に向けて、設備機器等の効率運転を一層推進するとともに、有収水量の増大に向けて、汚水処理量に占める不明水を減少して水処理の効率化を図り、併せて水道料金の改訂に伴う下水道使用料の改定などの経営改善を進めていく必要がある。