経営の健全性・効率性について
経常収支比率が48.78%と法適用化となってから過去最大の赤字となった。平成27年度までは一般会計負担金を収益的収入に充てていたが、平成28年度より資本的支出に多くの割合を当てたため、経常収益が大幅に減少し、欠損金が生じたものである。支払能力を示す流動比率は平成26年度よりマイナスとなっており、公共下水道と会計をひとつとしているために支払いが出来ている状況である。平成29年2月に料金改定を行い、使用料収入の増加に努めてはいるが、農業集落排水の使用者が多くないこともあり、現在の不足分をまかなえるほどの増額になるとは考えにくい。平成27年度に処理場の漏水による水道料金の増加や修繕費により大幅に増加した汚水原価が、例年の値まで減少したために経費回収率が上昇したが、いまだ一般会計からの負担金に依存している状況である。普及率・水洗化率の向上のために企業債を財源とする工事を行ったために企業債は多大なものとなったが、水洗化率は類似団体の平均を超え95.40%となっている。
老朽化の状況について
農業集落排水の供用開始が昭和57年であり、耐用年数を超えて使用している管渠はない。しかし、終末処理場については、機械などの修理や更新が必要となっている。今後、管渠と終末処理場の更新を並行して行わなければならないが、現在の経営状況では工事費を捻出することが難しい状態である。更新の負担を最小限とするためにも計画的な更新が求められる。
全体総括
経常収益が赤字となり流動比率もマイナスとなっていることから、経営は厳しい。経営改善として平成29年度に料金改定を行い、使用料の増加を図ったが、農業集落排水の使用者は今後減少に向かうと考えられ、長期的な収入の増加は見込めない。現在、一般会計からの負担金に依存している状況であり、経営が黒字とするには一般会計の協力が必要不可欠である。これまで取得した資産の更新と取得にかかった企業債の償還金が、今後経営を圧迫していくことは明白である。収入の向上のために再度の料金改定を視野にいれつつ、業務の見直しを図るための経営戦略の策定を急いでいる。