経営の健全性について
平成21年度から平成25年度までを期間とする佐賀市自動車運送事業経営健全化計画を策定し、資金不足比率を20%未満とすることを目標に経営改善に取り組んだ結果、平成25年度には資金不足の解消を達成し、累積欠損金についても解消した。その後、平成26年度から平成30年度までを期間とする「佐賀市営バス経営計画」を策定し、資金不足を生じさせない安定経営に努めているところである。経営状況としては、近年輸送人員が増加傾向にあり、これに伴う運送収入も増加している。しかしながら、慢性的な運転士不足や退職者の発生による人件費の増加、平成26年度からの会計制度の見直しによる退職給付引当金の計上義務化、減価償却費の計上方法の変更等により営業費用が増加したため、営業収支の改善には至っていない。平成28年度の経常収支比率及び営業収支比率の低下は退職者(1人)の発生に伴う退職給付費の増加等によるものである。今後は国の路線補助制度の見直しや定年退職者の増加等も見込まれるため、営業収支の改善が中長期的経営課題である。なお、車両購入等については、国県及び市長部局からの補助金を充当しているため企業債残高はない。
経営の効率性について
走行キロ当たりの収入は、ICカードの導入や佐賀空港へのLCC増便等により利用が好調に推移しているため増加傾向である。平成26年度からの走行キロ当たりの運送原価と走行キロ当たりの人件費の増加は、公営企業会計制度の見直しに伴うものである。今後も利用状況や利用者ニーズを把握・分析し、路線の見直しやダイヤ改正等により、運行の効率化に努める。
全体総括
今後も佐賀市営バス経営計画に基づき、経営の効率化を進めていく。また、平成30年度を目途に策定を予定している経営戦略のなかでも、ICカードの新たなサービスの企画開発等により、バス利用者を増やす取組を行うとともに、運行面では、国県からの補助対象となっている地域間幹線系統等の不採算路線について、県や市長部局と連携を図りながら生産性向上に取り組み、健全経営をめざしていきたい。また、安定的な経営を継続するうえで運転士の確保と育成は不可欠であるため、運転免許取得支援制度等を活用しながら人材確保に努めていく。