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基準財政需要額は、社会保障関係費等の増加に伴い、増加、高止まりとなっている。基準財政収入額は、リーマンショック後の厳しい経済状況のもと、税収減等の低迷により減収傾向となっており、平成22年度も減(対前年度比-4.0%)となっている。財政力も平成21年度まで改善を続けてきたが、平成22年度はやや悪化している。今後も基準財政需要額は高い水準を維持するとともに、基準財政収入額については景気回復の影響を受けるものと見込まれる。
平成19年度は、国の三位一体改革による地方交付税の大幅減により経常収支比率が悪化したが、業務委託化等による積極的な人件費縮減や低い高齢化率による介護保険事業特別会計への繰出金が少ないことなどにより、類似団体平均を下回っている。平成21年度は定額給付金の影響で補助費が増加したことにより短期的に経常収支比率は悪化したが、生活保護世帯の急増などにより、今後も経常収支比率の悪化が予想されるため、扶助費の適正化や指定管理者制度の更なる導入などにより、義務的経費の抑制に努める。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口一人当たりの金額は、平成18年度は類似団体平均を大きく下回っていたが、福岡市の金額には大きな変動がないものの、徐々に差が縮まりつつある。これは、類似団体に先駆けて業務委託や指定管理者制度導入など人件費抑制を図っていた福岡市に対して、近年類似団体も人件費抑制を図ってきた結果、差が縮まりつつあるのではないかと考えられる。今後は、予防接種の定期接種化等により、より一人当たり物件費が増加することが見込まれるが、業務委託料のうち高止まりを見せているものについては、事業の洗い出しと分析を行い、公募への移行など競争性が働く仕組みの導入を検討する。
近年の本市のラスパイレス指数は,類似団体内平均値を上回っているものの,本市職員の給与は,人事委員会の勧告に基づく給与改定により,市内民間給与との均衡が図られており,適正な水準となっている。職員給与については,今後も,人事委員会の勧告を尊重し,市内民間給与との均衡が図られるよう措置するとともに,より一層市民の理解が得られるよう,必要な見直しに努めていく。※グラフの平成18から平成22までの数値は,それぞれの年度の翌年度のものとなっている。(例)平成22の102.3…平成23年度の本市のラスパイレス指数
過去からの業務のアウトソーシングや直営施設職員数の抑制により、直近5年間の人口千人当たり職員数は年々減少しており、平成22年度では類似団体の中では少ない方から2番目に位置している。今後も市民サービスの低下を招かないよう留意しながら事務事業や執行体制の見直しを行い、簡素で効率的な市役所の構築に努めていく。
平成22年度は16.4%となり、対前年度比0.4ポイント改善している。類似団体の中で比率の高い方から上位3位と依然として高水準ではあるが、平成19年度以降、公的資金補償金免除繰上償還を実施し、高利から低利への借換を行ったことによる利子負担の減、また財政健全化による発行額の抑制等により市債残高は毎年度着実に減少しており、今後も起債に許可が必要となる基準値(18%)を下回って、比率は改善していく見込みである。
平成22年度は219.8%となり対前年度比17.9%改善している。類似団体の中で比率の高い方から上位6位と依然として高水準であるが、平成19年度以降市債残高の着実な減少や市債償還の財源となる減債基金の積立額の増等により着実に改善している。今後も公債費等の削減等を進め、財政健全化に努める。
過去からの業務のアウトソーシングや直営施設職員数の抑制により、職員数が類似団体と比較して少ないために、経常収支比率の人件費分は低くなっている。今後も、事務事業や執行体制の見直しなどにより、更なる人件費抑制を検討していく。
物件費の経常収支比率は類似団体並みとなっている。今後は、老朽化による施設の維持管理コストの上昇が見込まれるため、施設の必要性やあり方の見直し、直営施設の指定管理制度への移行等を検討する。また、業務委託費のうち高止まりをしているものについては、事業の洗い出しと分析を行った上で、公募化や競争性の導入など、物件費の上昇抑制を図る。
生活保護世帯の急増が主な原因となり、平成21年度から経常収支比率は上昇している。類似団体との比較においても、平成20年度には0.3ポイントの僅差であったものが、平成22年度には0.8ポイントへと差が拡大している。今後は、生活保護において就労支援や医療費の適正化などに引き続き取り組むことなどにより、扶助費の増加傾向に歯止めをかけるよう努める。
その他に係る経常収支比率が類似団体平均よりも低くなっているのは、繰出金が低水準で推移しているためである。特に、介護保険特別会計への繰出金は政令指定都市の中でも少ない。これは、福岡市の高齢化率が全国平均と比べて低いためである。今後は高齢化が一層進展する見込みであり、介護予防の推進や在宅生活の支援充実を通じ、介護給付費の抑制を図ることで、介護保険事業特別会計への繰出金の増加を抑制するよう努める。
補助費等における経常収支比率が類似団体よりも低くなっているのは、平成16年度より、財政健全化プランに掲げた補助金審査委員会を設置し、補助金・負担金のあり方や必要性を検討し、見直し等を実施してきたためである。今後も、見直し途上の補助金について、引き続き補助の意義や効果を検証したうえで、適正化に向けた見直しを実施していく。
バブル崩壊後に、ユニバーシアードのための関連施設整備や、国の大型景気対策と連動し立ち遅れていた都市基盤・生活基盤の整備を市債を活用して積極的に推進してきたことから、多額の公債費負担が発生している。公的資金補償金免除繰上償還を実施し、高利から低利への借換を行ったことによる利子負担の減、また財政健全化による発行額の抑制により、公債費の増加は抑えているものの、近年臨時財政対策債の市債発行が増加していることや、大規模施設の建替などから、今後再び増加基調に転じる可能性がある。現在策定中の行財政改革プランにおいて、新たな市債の発行抑制の目標を設定する予定である。
公債費以外の経常収支比率は、人件費や補助費等に牽引され、類似団体内で低い水準に位置しているが、扶助費の比率は類似団体の中で高い水準に位置している。今後は、新たに策定する行財政改革プランに沿って、人件費及び経常的な経費の見直し、歳入の確保、投資の重点化に取り組む。
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