経営の健全性・効率性について
令和3年度決算における経常収支比率は、類似団体平均を上回り135.18となっている。また対前年度も増となっているが、前年度はダムのドライ浚渫や配水管布設替工事によって長期の断水期間があったものの、令和3年度においては大雨等による濁度異常での給水制限が8日間に留まったことにより、給水収益が前年度に比べ増加したことによるものである。料金回収率は類似団体を大幅に上回っており、企業債も新たな借入を行わず残高は減少していることから支払い能力に問題はない。施設の利用率や契約率も高い水準を維持しており効率的な運用が出来ている状態である。以上のことから本事業は高率的な運営が出来ていると判断しているが、今後はダムの堆砂量が既に計画堆砂量の約195%に達していると報告を受けており、堆砂除去のため長期間に渡る断水の可能性があり、また施設の強靭化等による建設改良費の増加も見込まれているため、引き続き経営努力が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については前年に比べわずかに上昇したものの、施設の更新・耐震化計画等に基づき対策工事を行っており、中期的には減少していく見込みである。しかし管についても耐震化が出来ていない区間ももあり、事業費の平準化も加味しながら早期に着手できるよう、適宜計画の見直しも図る必要がある。
全体総括
経営状況は総じて安定しているが、今後は耐震化の完了していない施設更新(強靱化含む)に伴う建設改良費の増加が見込まれており、また社会情勢による工事物品の調達遅延やコスト増等も発生しており、今後の更なる費用増加は避けられない状態である。よって維持管理コスト縮減はもとより、継続的に利益を計上できるよう経営努力が必要である。