収益等の状況について
①収益的収支比率については、平成27年度から改善傾向は見られるものの、過去5年間について、いずれの年も100%を切っており、慢性的な赤字である状況には変わりがないが、平成30年度については類似施設の平均値と比較して上回っている状況である。また、⑥売上高GOP比率や⑦EBITDA値は共に、平成29年度に比べると数値は改善しているものの、現状では民間企業への譲渡をできるような経営状況であるとは言い難く、今後も、ハードとソフトの両面で経営改善に向けた取組が必要である。
資産等の状況について
当該施設は、現在の状態で稼働し20年を経過していることから、施設の老朽化が進行していることに加え、施設設備としても宿泊者の求めるニーズに十分に対応できているとは言い難い状況である。こういった現状を改善するために、平成30年度は、和室をユニットバス付きの洋室へ改修する工事を実施したところである。客室洋室化などの売上への影響を見極めながら、令和2年度以降の計画を検討し、経営戦略に盛り込む予定である。また、施設利用者が快適に利用できるための設備更新も同時に進める必要があることから、平成30年度は和室改装に併せて空調機器の更新を行い、引き続き今後も設備の更新についても進めていく予定である。
利用の状況について
⑬施設と周辺地域の宿泊客数動向については、平成29年度は、周辺地域における宿泊需要は低下し、当該施設においては宿泊需要が高まっている状況であったが、平成30年度は、周辺地域における宿泊需要が増加した一方、当該施設においては宿泊需要が低下している。クアパークは瀬戸内海国立公園に隣接する国民宿舎として、本市にとって必要な施設であるが、現在の施設設備の状況では、宿泊者の需要に十分対応することは難しい状況である。更なるリピーターの獲得に加えて、増加傾向のある海外からの観光客等の需要を取り込むために、平成30年度は、客室改装工事を実施したところである。
全体総括
収益的収支比率、売上高GOP比率やEBITDAの値は、前年度に比べ改善したものの、低い状態となっており、民間譲渡をできるような状況であるとは言い難い。現状の改善のために、客室の洋室化といった施設の改修工事を昨年度実施したところであるが、このようなハード面の改修と並行して、ソフト面での取組も必要である。具体的には、当該施設は指定管理者にて運営を行っていることから、指定管理者側と行った協議結果を、令和2年度に策定を予定している経営戦略の中に盛り込むことで、中長期的な収支計画を取りまとめ、その経営戦略に基づき、設備更新投資も計画的に実行することで、健全な経営状態を目指す予定である。