経営の健全性・効率性について
当該集落排水施設は、離島かつ小規模な集落に存在するため、個別の維持管理体制が必要であり、公共下水道のように広域的な維持管理体制と比べて効率的な運用が難しい状況である。また、施設の維持管理の経費について、近年の有収水量は7,500㎥で推移しており、使用料では不足するため、一般会計からの繰入金が必要となっている。使用料については、公共下水道の利用者との間に不公平感が生じないよう、下水道料金と同額としているが、既に施設整備が終了していることや島内の水洗化人口の減少により、料金収入にも限界がある。なお、平成14年4月1日の供用開始以来、毎年度、使用料は確実に100%回収されおり、経営の健全性・効率性に努めている。また、汚水処理原価については、平成23年度と比較し、近年は低い数値となっており、効率性が向上している状況にあると推測できるが、今後は、耐用年数を超えた施設や設備の更新費用が順次発生するため、維持管理を適正に行っていく。しかし、将来的には修繕費の増加は避けられない状況である。
老朽化の状況について
施設稼働10年目に簡易的な劣化診断を実施した結果、全般的に劣化の程度は低い状態であり、現在もその状態を維持している。設備については、定期的にオーバーホールを実施するなど消耗部品の交換により、延命化に努めていく予定である。しかし、施設設置から15年が経過しているため、将来的には施設や設備の老朽化の対策を講じていかなければならない時期を迎える。
全体総括
当該集落排水施設は、設置地域が離島であり、かつ、対象住民の増加がほとんど見込めないことから、施設建設に要した起債の償還及び維持管理に要する経費については、使用料収入では賄えないため、当分の間、今後も一般会計からの繰り入れが必要である。他方、水洗化率は既に100%となっており、現時点での投資計画はないが、今後の施設更新時には、償還残高や毎年度の償還額、料金収入を踏まえた適切な水準を把握する必要がある。平成28年度に策定した「漁業集落排水事業経営戦略」に基づき、島民の衛生的で快適な生活環境の創出と沿岸漁業に対する良好な水域環境の保全に資するため、中長期的な観点から適切な施設の維持管理を行うとともに、事業の効率化・経営健全化を行い、今後も適正に維持管理をしていく。