経営の健全性・効率性について
・企業債残高対事業規模比率については、平成28年度から分流式下水道に係る一般会計からの繰出金の算出基準が変更され、企業債残高に対する一般会計が負担する額の増加に伴い、低下している。・経費回収率は例年20%程度で推移しているが、処理区域が離島集落である性格上、処理区域内である島内の人口増加は見込めず、今後の使用料収益の増額も期待できないため、施設管理費用に対する使用料収益の不足が経常的に発生しているためである。この離島集落に起因する人口要因は、汚水処理原価の高推移や施設利用率の低推移の原因となっている。・水洗化率は100%であり、島内集落全体に敷設されている。
老朽化の状況について
・敷設管渠は、汚水処理における流水実績やその耐用年数から不具合や老朽化は認められていないため、管渠改善率は0%である。なお、排水処理に係る機械設備については、定期的なオーバーホールの実施による消耗部品の交換により、延命化に努めているところである。しかしながら、平成14年4月の供用開始から平成29年度末をもって15年が経過する。これに伴い、汚水処理設備の各種機械設備が耐用年数を向かえる。さらに現行機械設備に係る部品のメーカー生産の終了により、今後の安定した運転管理が困難となっており、機械設備の更新が急務となっている。
全体総括
当該集落排水施設は、設置地域が離島であることから将来的な島内集落住民の増加は見込めない。そのため、施設建設に要した起債の償還及び維持管理に要する経費を使用料収入だけで賄えないため、今後も一般会計からの繰り入れが必要である。また、島内集落の水洗化率は100%であることから、現時点における投資計画を必要としていないが、将来の施設更新に際しては、償還残高や毎年度の償還額、料金収入を踏まえた適切な水準を把握が必要となる。今後の経営については、平成28年度に策定した「漁業集落排水事業経営戦略」に基づき、適切な施設管理により効率性を確保し、確実な使用料収益の確保に努めることで最低限の健全性を確保しつつ、島民の衛生的で快適な生活環境の創出と沿岸漁業に対する良好な水域環境の保全に資するための中長期的な観点から適切な施設の維持管理を行うものである。