経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、総収益は料金改定による使用料収入が増となったが、総費用のうち、職員給与費は微増であるが施設維持管理費が約4,000千円増により対前年比で3.5ポイント低下した。平均では約104%であり、しばらくはこの水準で推移していくと予想される。④企業債残高対事業規模比率については、企業債の全額を一般会計から繰入しているため数値は0である。⑤経費回収率は、使用料に対する汚水処理費増の割合が増加したために回収率は下がった。⑥汚水処理原価は対前年比で約60円も増加しており、類似団体の平均値と比較すると約2倍のコストがかかっている。これらの要因としては、施設維持費のうち機械設備の修繕費の増により年々増加傾向にあるが、有収水量は人口減による使用量の減にあることが考えられる。⑦施設利用率は日平均処理水量で見ると依然低い状況にある。アクアスの利用率が大きく影響しているが人口減少の影響もある。⑧水洗化率は、処理区域内人口が減少しているために割合により増えただけであり、接続率が上昇しているわけではない。今後は、維持管理費の削減を図り、施設修繕等の財源確保のための料金改定を検討する必要がある。
老朽化の状況について
本市は地方公営企業法非適用につき、会計上の固定資産の減価償却を行っていないため、有形固定資産減価償却率の数値は出ていないが、実質は減価償却を行っており、この数値は法適用後に年々上昇していくと推測される。また、管路が比較的新しいため、老朽管に到達している管路がなく、更新等を行っていないため、管渠改善率の数値は出ていない。当施設は、H17に供用開始したが、処理場及び中継ポンプ場における機械及び装置は年々老朽化し、法定耐用年数をすでに超えたもの及び法定耐用年数に近づいている資産がある。今後必要となるストックマネジメントに係る計画の策定等の中で、より良い将来経営にむけた管渠・処理場の老朽化対策を図っていく必要がある。
全体総括
特定環境公共下水道事業は波子処理区の1処理区で、処理区域内における使用は、主にしまね海洋館アクアスを中心とした事業所の使用料が大きな収入源である。このことが毎年度の経費回収率や汚水処理原価の変動に大きく影響している。また、R1は料金改定により、一定の使用料収入増となった。しかし、恒常的な維持管理費に対して、処理区域内の人口は減少の一途となり、料金改定による使用料収入増以外、急激な収入増は見込めない状況にある。よって、収支の均衡を保つために一般会計からの繰入金に依存しており、その経営体質は地方公営企業法を適用後も変わらないと予想される。今後も処理区域内の人口減少や高齢化による使用料収入の減少し、厳しい経営が続くが、引き続き接続率の向上やコスト節減に努める必要がある。また、この施設経営に企業会計方式を早期に導入して、さらなる経営の効率化と改善を図っていく。