経営の健全性について
○事業の状況(①②③④)・定期運送収益は現状維持だったのに対して、貸切運送収益は、定期年間運送業務受注増により大幅増となり、広告収益微増を合せ、営業収益全体では、前年度比14.2%の大幅増となりました。・運転士人件費増加を事務所体制見直しによる費用縮減により抑えましたが、これを上回る車両修繕費の増加やPR宣伝費増により、営業費用全体では、対前年度比2.7%の増加となりました。・営業費用も一定増加しましたが、これを営業収益の増加率が上回ったことから、その結果、営業収支比率、経常収支比率は一定改善しました。・流動比率は200%を超えており、公営企業平均値より高い状況を推移しています。・累積欠損金比率は、収支の改善により年次的に減少し、平成27年度には0となりました。○独立採算の状況(⑤⑥⑦)・いずれの項目についても、平均値より高い状況にありますが、第2次経営健全化計画により、他会計負担金を対前年度9.9%減少としたことにより、他会計負担比率及び利用者1回当たり他会計負担額については改善が図られました。○資産及び負債の状況(⑧⑨)・企業債残高対料金収入比率については、平成24年度企業債の借入れは一般会計負担分であり、その他の年度は企業債の借入れを行っていないため、0となっています。・有形固定資産減価償却率については、H26、H27共に、公営企業平均値とほぼ同じ状況にあります。
経営の効率性について
○走行キロ当たりの各指標(①②③)・いずれの項目についても、平均値より高い状況にありますが、前年度と比較すると改善が図られました。・特に走行キロ当たりの収入については、他会計負担比率を減少させている中で、改善することができました。○乗車効率(④)・公営企業平均値より低い状況にありますが、平成25年度に出雲大社本殿遷座祭による観光入込増の影響等により大幅に増加しました。・観光入込効果は落ち着きを見せ、観光入込利用は減少に転じていますが、市民利用で補填・増加させており、少子化と高齢ドライバー増加の減少要因を企業・事業所の通勤利用者増が上回り、概ね25年度を維持しています。
全体総括
・平成26年度に策定した、松江市自動車運送事業経営健全化計画(第2次計画)【平成26年度~平成30年度】に基づき、27年度の事業実績を検証し、経営上重要な定期運送利用者数、営業収支、営業費用(人件費)等を見ると概ね経営健全化計画の目標値を達成しており、今後の収支見通しも概ね良好であり、順調に進行しているといえます。・継続的な利用促進策の展開と企業・事業所等へのPR・販促により、時限的な定期運送業務受注や松江城国宝化効果等を除いても、一応の中期的な安定経営に向けた端緒を得たものと考えます。・しかしながら、運輸安全の確立、スピード感ある業務対応、営業活動とニーズ把握、人材育成など多くの課題を抱え、「待ちの姿勢からの脱却」や「報・連・相の徹底」など継続的な職員の意識改革が必要です。・今後、更にPDCAサイクルを回すことで、目標値の充実、組織体制の一層整備、新規施策の実施等により、31年度からの第3次計画策定を視野に入れ、事業基盤と収益構造の確立に向け取り組みます。