経営の健全性について
京都市自動車運送事業は,平成21年4月に施行された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく「経営健全化団体」となったため,平成21年度に経営健全化計画を市会の議決を得て策定した。経営健全化計画に掲げた取組を着実に推進した結果,平成24年度決算において,経営健全化団体から脱却した。さらに,平成26年度以降は,一般会計からの任意補助金に頼らない「自立した経営」を堅持し,黒字を確保している。○事業の状況について「①経常収支比率」及び「②営業収支比率」については,目標値,公営企業平均値ともに上回っている。「③流動比率」については,平成24~26年度は公営企業平均値を下回ったものの,経常損益改善に伴う流動資産の増加によって比率は上昇し,平成27年度以降目標値,公営企業平均値ともに上回っている。「④累積欠損金比率」については,平成25年度に,平成4年度以来,21年ぶりに累積欠損金を解消したことにより0%となっている。○独立採算の状況について「⑤利用者1回あたりの他会計負担額」については,平成26年度から累積資金不足を解消し,一般会計の任意補助金に頼らない「自立した経営」を実現したことにより少額で推移している。「⑥利用者1回あたり運行経費」は,公営企業平均値を下回り,ほぼ一定の水準で推移している。「⑦他会計負担比率」についても,直近5年間で順調に減少しており良好に推移している。○資産及び負債の状況について「⑧企業債残高対料金収入比率」については,直近5年間において旅客運送収入は増加しており,平成28年度は企業債残高が減少したことにより低下している。「⑨有形固定資産減価償却率」については,公営企業平均値を若干下回る比率で推移している。
経営の効率性について
「②走行キロ当たりの運送原価」は民間事業者平均値を上回っているが,「①走行キロ当たりの収入」については,増加傾向にあり,民間事業者平均値を上回っているため,黒字を確保することができている。「③走行キロ当たりの人件費」は,管理の受委託を50%まで実施しているため,民間事業者平均値を下回っている。また,「④乗車効率」については公営企業平均値と比較して高い状態で推移しており,効率的なバスの運行を行っている。
全体総括
2.経営の効率性の「②走行キロ当たりの運送原価」,「③走行キロ当たりの人件費」の増加傾向に留意しつつ,一般会計からの任意補助金に頼らない「自立した経営」を継続し,黒字を堅持するとともに,利便性向上により更なる利用促進を図る「攻めの経営」の成果を踏まえ,安全対策,路線・ダイヤの充実やバス待ち環境向上等,徹底的に利用者目線に立った取組を引き続き推進する。また,平成29年度と30年度の2箇年で,中長期的な視点に立った経営計画として10年間を期間とする新たな経営ビジョンを策定し,経営の健全化を更に推進していく。