名古屋市：交通事業

経営の健全性について

①経常収支比率は過去５ヶ年黒字を確保しており、公営企業平均値や目標値を上回っているものの、②営業収支比率は過去５ヶ年赤字である。営業収支比率については、目標値を下回っているが、改善傾向にあり平成28年度は公営企業平均値を上回った。主に一般会計からの補助等により経常黒字を確保しており⑤利用者１回当たり他会計負担額や⑦他会計負担比率は公営企業平均値を上回っているものの、減少傾向にあった。しかし平成28年度において前年度をやや上回った。これはバス車両のノンステップバス整備率を100％とするための更新車両数増加に伴う資本費補助の増などによるものである。一方⑥利用者１回当たり運行経費は公営企業平均値並みとなっており減少傾向にある。④累積欠損金比率は公営企業平均値や目標値を上回っているものの、改善傾向にある。③流動比率は公営企業平均値や目標値を下回っているものの、改善傾向にある。平成26年度に減少しているのは地方公営企業会計制度が見直され、1年以内に返済期限が到来する企業債等を流動負債に分類したことによるもので、経営実態に変化はない。⑧企業債残高対料金収入比率は減少傾向にあったが、平成28年度は前年度に比べ、企業債残高の増により増加した。また、⑨有形固定資産減価償却率は増加傾向にあったが、平成28年度は前年度に比べ、減価償却累計額の減により減少した。これらは、バス車両のノンステップバス整備率を100％とするための更新車両数増加により、それぞれ購入に伴う企業債発行額の増、除却に伴う減価償却累計額の減によるものである。

経営の効率性について

①走行キロ当たりの収入は同じ地域内の民間事業者の平均値を上回っており、また増加傾向にある。一方、②走行キロ当たりの運送原価も民間事業者平均値を上回っており、これは③走行キロ当たりの人件費が民間事業者平均値を上回っていることが主な要因となっており、引き続き管理委託等の経営改善を進めることとしている。④乗車効率は公営企業平均値を下回っているものの、上昇傾向にあったが、平成28年度においては、バス車両の更新にあたり定員のより多い車両を購入したため、平均乗車定員数が増となったことにより前年度に比べ下がった。

全体総括

経常収支は黒字となっており、資金不足については平成27年に策定した経営計画（2015-2018）では、計画期間中の解消を目標としていたが、２年前倒しで解消することができた。しかしながら一般会計から繰り入れている補助金などを除いた営業収支では赤字となっている。累積欠損金についても、減少傾向にあるものの多額となっている。このような状況をふまえ、今後も市営交通として、安定的・継続的な運行サービスを提供し続けることができるように、平成３１年度を目途に経営戦略の策定を予定しているが、引き続き経営改善を図り、営業収支の改善に向けて努力するとともに、経常収支の黒字を維持し、累積欠損金の縮減に努めていく。