経営の健全性・効率性について
菊川市公共下水道事業は、平成30年4月に地方公営企業法の一部を適用し、公営企業会計に移行しました。そのため、前年度比較はありません。公営企業会計移行後初年度は、①経常収支比率は約100%に達しましたが、汚水処理区域拡大のため、管渠整備に伴う汚水処理費の増により、⑤経費回収率が約45%と類似団体よりも低くなっています。その補填は、一般会計からの繰入金を充てています。事業計画で位置付けた汚水処理区域の完成に向け管渠整備を進めていることから、⑦施設利用率が低く、適正な有収水量が確保できず、類似団体に比べ⑤汚水処理原価が高くなっています。③流動比率は、建設改良費に充てられた企業債借入金が含まれているため、100%未満となっています。④企業債残高対事業比率も使用料収入に対する企業債残高の割合は、一般会計負担額により、類似団体よりも低くなっています。下水道事業への地方公営企業法適用に伴う特別損失により②累積欠損金比率が発生、類似団体と比べ低くなっているが、0%となるよう経営戦略を基に経営の改善が必要とされます。⑧水洗化率は、早期接続のための施策(受益者負担金の減免・接続工事費補助金)により、類似団体に比べ高い数値となっています。
老朽化の状況について
平成30年4月に公営企業会計に移行した際、固定資産の登録を行いました。本市の下水道事業は平成10年に事業着手し、供用開始が平成16年度末と新しい施設であるため、①有形固定資産減価償却率は法定耐用年数に満たないものがほとんどであるため、類似団体平均より低くなっています。②管渠老朽化率及び③管渠改善率は、老朽化した施設がないため発生していないが、策定したストックマネジメント計画を基に、長期的な施設状態を予測しながら、点検、調査、修繕及び改築を一体的に捉えて、下水道施設を計画的かつ効率的に管理していく必要があります。
全体総括
本市の下水道事業は、整備率41.9%と低く、現在管渠整備を推進しています。水洗化率は、類似団体平均値を上回っているが、平成20年度に水処理施設を増設した後、事業計画で位置付けた汚水処理区域の完成に向け管渠整備を進めていることから、施設利用率の伸び率が低くなっています。このことが、年間有収水量に影響し、使用料収入が適正な水準に結びつかず、汚水処理原価が平均値を上回り、企業債残高対事業規模比率及び経費回収率が、平均値を下回ることとなっています。今後、平成30年度に策定した菊川市下水道事業経営戦略を基に、経営基盤の強化と財務マネジメントの向上を図っていく必要があります。