経営の健全性・効率性について
使用料で回収すべき経費をどの程度賄えているかを示す⑤経費回収率を見ると、使用料改定を行い、営業収支が黒字となっている平成26年度から平成30年度においても約40%程度である。このことは、使用料収入だけでは維持管理経費を賄うことができいないことが示されている。本市の下水道普及率は60%程度で、未普及解消の段階にあり、事業として採算性が低く経営を維持できない状況にあるため、不足分については、総務省の地方公営企業繰出基準に基づき、一般会計より基準を超えて繰り出しを受けている。そのため、今後も下水道の普及及び水洗化を促進するとともに、経営状況を鑑みて使用料改定を検討していく必要がある。④企業債残高対事業規模比率が高い理由は、事業費から控除財源を除いた満額に企業債を充てているためである。また、経費について見ると、1㎥あたりの汚水処理にどの程度経費を要したかを示す⑥汚水処理原価は、類似団体平均、全国平均よりも多額となっている。この要因としては、沼津市の地形的な特性から多くの処理場(市管理:5か所、県管理:1か所)を所有しなければならないなど、他市町と比べ効率的な維持管理が困難であることがあげられる。⑥施設理由率が平均値を下回っているのは、普及率がまだ低いため、施設の処理能力に対する流入水量が少ないことが要因である。さらに、下水道への接続率を表す⑧水洗化率を見ると全国平均、類似団体平均より低く、整備効果を十分に発揮できていない状況であり、収入における自主財源の確保のためにも粘り強く水洗化指導を行っていかなければならない。※沼津市においては、特定環境保全公共下水道、公共下水道、漁業集落排水は個別に管理しておらず、同一の会計で管理している為、沼津市下水道の分析は、最大規模である公共下水道のシートを見ていただけると理解していただきやすいです。
老朽化の状況について
沼津市の下水道普及率は平成30年度末現在、60.1%で、普及促進の段階にある。そのため現状では②管渠老朽化率0%が示すように、更新しなければならない管渠は存在しない。しかしながら、将来的には耐用年数を経過する管渠も出てくるため、普及の促進とともに長寿命化対策も行わなければならず、効率とバランスを考えた整備、維持管理をしていかなければならない。
全体総括
下水道事業は、快適で衛生的な住環境を引き継いでいくために必要な都市計画事業である。そのため、普及の促進や施設の長寿命化、更新を計画的に推進していかなければならず、強固な経営基盤の確立が不可欠である。このような中、沼津市の下水道事業は、平成31年4月から利用者の皆様に負担増をお願いし、使用料の改定を行った。今後もあらゆる経費削減策を講じるほか、水洗化指導を粘り強く行い、下水道利用者を増やしていくほか、適正な受益者負担となるよう、定期的に使用料の見直しの検討など、財源の確保に努めなければならない。