経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、平成23年以降ほぼ横ばい。平成20年から22年に、高金利の地方債を低利に借り換えを行い、将来に渡る利払いを軽減。平成25年には、平成28年までの汚水処理費の不足を見込んだ使用料改定を実施し、収益の向上に努めている。使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示す経費回収率においては、100%をわずかに下回っているものの、類似団体の平均値を超えている状況。また、処理区域内における水洗化率について、平均値に比べ低くなっているが、これは未普及解消事業の途中であるためと考えられ、今後事業の完成により、増加していくことが見込まれる。次に、有収水量1.あたりの汚水処理に要した費用を示す汚水処理原価については、ほぼ平均値となっている。更なる改善には、経費削減や有収水量の増加が必要だが、多治見市では平均より有収率が低いのが現状。これは、開発による受贈財産が多く、管にクラック等があり、不明水が発生していることや、合流地域が存在することが原因していると考えられる。他、施設が一日に対応可能な処理能力に対する一日平均処理水量の割合を表す施設利用率については、平成25年から大きく下がっている。これは、将来的な処理水量の増加を見込み、池田下水処理場の第7系列増設工事を実施し、処理能力が向上したことによるもの。今後、未普及解消事業が進むことで、処理水量の増加と共に、施設利用率も増加することが見込まれる。
老朽化の状況について
公共下水道の整備に着手し40年以上が経過した今、施設の老朽化は大きな行政課題となっている。老朽化に起因した道路陥没などの事故防止や下水道処理に関する能力確保の観点から老朽化対策に取り組み始めたところである。平成24年に多治見市下水道長寿命化計画を策定し平成25年度より長寿命化事業(老朽化対策)に着手している。これからは、未普及対策から老朽化対策へとシフトしていくことは明らかであり、下水道事業における老朽化対策事業の割合は年々増加していくことが想定される。そんな中、厳しい財政状況下、対処的老朽化対策ではなく予防的老朽化対策を見据え、適切なストックマネジメントの展開を行い、効率的で効果的な老朽化対策に積極的に取り組んでいく。
全体総括
経費回収率からは、類似団体の平均と比べると、比較的健全な運営ができている。財源として不足する額は、一般会計からの繰入金で賄っているが、その額についてもルール化することで、効率的な財政運営につながっている。今後も経営改善のため、定期的な使用料の見直し、水洗化普及促進員による水洗化率向上、不明水の解消に向けた管の内面調査及び修繕、維持・建設等に係る経費削減に継続して努めていく。一方、下水道施設については、建設から相当年数が経過しているため、今後修繕・改築等も増加する見込みであることから、財政面を考慮した上で、計画的に進める必要がある。現在、全国的に公営企業法を適用する流れとなっており、更なる独立採算に向けた取り組みを行っていく。