経営の健全性・効率性について
水道事業では、①経常収支比率は141.59%となり前年度に比べ9.02ポイント上昇し、全国及び類似団体の平均を上回る水準を維持しています。また、②累積欠損金比率が0%を維持していること、③流動比率が平均を大きく上回っていることからも、単年度の経常収支は安定して黒字を維持できており経営状態が比較的安定しているものと考えられます。これは、⑥給水原価が138.79円と平均に比べ低く抑えられている一方で、⑤料金回収率は144.00%と平均と比較して高い水準を保っており、経費を抑制しつつ料金収入で経費を賄うことができている裏付けとなっています。しかし⑦施設利用率、有収率ともに全国平均を下回っていることから、漏水や給水人口の減少が配水量の減少に影響していることが考えられ、長期的には給水収益(料金収入)の減少につながることが懸念されます。また、④企業債残高対給水収益率は全国及び類似団体平均を下回っているものの3年連続の上昇となっており、今後も設備更新に伴う借り入れを継続的に行う必要があることから、企業債償還金の増加が経営状態に影響することが懸念されます。
老朽化の状況について
令和3年度は、②管路経年化率が24.68%と前年に比べて4.44ポイント上昇して全国及び類似団体の平均を上回り、①有形固定資産減価償却率も67.16%と引き続き平均を上回って高い水準となっており、耐用年数に近い又はこれを経過した施設が年々増加していることを示しています。加えて、③管路更新率が依然低い水準にあることから、敷設替えなどによる管路の更新を含めた施設全体の計画的な更新、安定した給水量を確保するための水源開発等が今後の課題となっています。
全体総括
上記の分析から、水道事業の経営状態は、現状では比較的良好な状態を維持していると考えられます。一方で、近い将来見込まれる管路などの施設更新や老朽化が進む施設の維持管理に伴う費用の増加、給水人口の減少、新型コロナウイルス感染症拡大の影響にによる給水収益(料金収入)の減少などに備えるため、一層の経費削減を進めるとともに、計画的な設備更新、業務の効率化、安定供給に向けた水源確保などに取り組む必要があります。