経営の健全性について
平成27年度決算においても累積欠損金は無く、経常収支比率、営業収支比率は平均を上回り、安定しています。流動比率は平均値より、大幅に高い値となっています。独立採算の状況においては、平成24年度までは一般会計より繰り入れを行っていましたが、平成25年度以降は繰入れがない状況です。しかし、利用者1回当たり運行経費については、公営企業平均値より大幅に高くなっている状況です。平成27年度においても数値的には高いものの、経費削減等により年々削減傾向にあります。資産及び負債状況は、企業債の借り入れがない状況です。有形固定資産減価償却率の値は平均値とほぼ同水準に近いことから、耐用年数に近い資産の増加が伺えます。
経営の効率性について
走行キロ当たりの収入は平均値より高くなっています。走行キロ当たりの運送原価は平均値よりは高くなっていますが、経費節減等により年々減少してきています。走行キロ当たりの人件費は平均値より高くなっていますが、これは、環境省からの自然保護のための運行条件の中に「小型バス運行」となっていることから、効率が悪くなっています。その反面、乗車効率は平均値より高くなっています。今後経営の効率性においては、現状の運行条件等を行うなかで、民間事業者と比較し、経営改善につなげていく必要があります。
全体総括
国立公園内を運行するバス事業であり、4月から11月の季節運行で、運行便数も規制ある等、他の公営企業とは状況が異なっています。乗客は登山者が多く、天候状況により左右される現状であります。今後、平成32年度を目途に策定を予定している経営戦略のなかで、違う客層の集客にも力を入れ、収入財源の確保を図る必要があります。自然保護の規制により、バス大型化が図れないために経費がかかっている現状ですが、今後は規制緩和にも努力し、経営効率化を図っていく必要があります。今後資産については、中長期的な計画を作成し、定期的な更新を行うことにより、安定的な経営を行います。また、費用の大半を占める人件費について民間事業者と比較し、より一層の経営改善計画につなげていく必要があります。