経営の健全性・効率性について
本事業における平成30年度の経常収支比率は100%を超え、類似団体平均値よりも低いものの例年並みの数値となっている。料金回収率では類似団体平均値が毎年微増となっているが、本町では微減となっている。これは浄水場水源清掃や揚水ポンプ修繕といった複数年に一度の改修を行ったため、昨年度より経常経費で約11,000千円程度増加したことにより給水原価が11.1%上昇したことが要因である。収益的収支では営業費用のうち約76%を使用料のみで賄えており、ある程度は健全な状態といえるが、企業債残高対給水収益比率をみると依然として類似団体平均値よりも高い水準にあり、地方債の元利償還が会計を圧迫していることがわかる。これは平成7,8年度に小島浄水場建設事業で16億9000万円の地方債を発行したことによるものであり、更にはその当時の地方債借入利率が高かったことから利子支払額が高くなり、現在までの高い給水原価につながっている。地方債の償還は平成35年度がピークであり、平成38年度には小島浄水場建設に係る地方債の償還が終了するため、以後は各指標共に大きく改善する見込みである。今後は、人口減少に伴う使用料の減と施設老朽化対策経費及び維持管理費との収支ギャップの調整が大きな課題となるため、経営戦略をはじめとした各種計画に則り適正な施設の維持管理を図る必要がある。
老朽化の状況について
現在、多くの管路が法定耐用年数に近いことから、平成29年度から本格的に老朽管等更新事業に着手したが、財政面で余裕がないため、町道改良事業と同時着手で施工するなど効率的に老朽管更新事業を進めつつ、老朽化対策のリスク評価、優先順位、投資可能額の算定などを行い、該当施設を選定し、計画的かつ集中的に事業に取り組むこととしている。
全体総括
経営的には、今後、人口減に伴う収入減や会計年度任用職員への移行に伴う人件費の高騰などにより収支ギャップが大きくなる見込みであり、収支ギャップの改善のため経営戦略による中長期的な事業運営を立てることにより、将来予測を検討しながら、適切な事業規模と料金体系の見直しを検討する必要がある。今後は、健全な経営状態を目指し老朽化対策、ダウンサイジング、投資可能額と対策優先順位などを検討するため、上水道アセットマネジメント計画や水道ビジョンを策定し、計画的かつ効率的に事業を推進していく必要がある。