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東日本大震災後は、復興需要により法人事業税や県民税等が増加し、基準財政収入額は前年度比7~14%の増で推移してきたが、平成28年度は前年度比0.5%増となり、財政力指数は0.53で前年度から0.02の増となった。復興・創生を着実に進めるため、引き続き地方税等の自主財源の確保や事務事業の効率的執行に取り組んでいく。
経常一般財源の歳入は、地方税や普通交付税が増加したものの、地方譲与税の減収により、全体で前年度より減少した。また、歳出(経常経費充当一般財源)についても、維持補修費等は増加したが人件費が減少し、全体で前年度より減少している。歳入歳出ともに減少しているが、歳入の減少幅が歳出を上回ったため、経常収支比率は前年度より1.7ポイント増となった。震災の影響により経常収支比率の高い状態が続いているため、復興の進展に合わせ、内部管理経費の節減や効率的な事務執行に努めていく。
平成22年度までは137千円程度で推移していたが、東日本大震災後は復興関連事業に係る人件費や災害救助費等物件費の増加により、一人当たり25~28千円程度増加した状態が継続している。復興の進展に合わせた職員数の段階的な縮小や仮設・借り上げ住宅経費等の減少により、人件費・物件費は漸減しているものの、維持補修費がやや増加したため全体として横ばい傾向となった。依然として類似団体の平均を大きく上回っている状況であり、引き続き事務事業の効率的執行に努めていく。
平成24については、国家公務員の時限的な(2年間)給与改定特例法による減額措置のため、相対的にラスパイレス指数が上昇した。平成25については、国家公務員の時限的な(2年間)給与改定特例法による減額措置が終了したこと、また、震災対応のため新規採用職員を大量に採用し職員構成等が変動したこと等により、ラスパイレス指数が低下した。平成26については、平成27給与制度総合見直しの際に人事委員会勧告に基づき国を下回る引下率で給与改定を行ったことや、平成18給与構造改革に伴う現給保障が平成28年3月31日まで継続していること等から、ラスパイレス指数が上昇した。平成27については、平成27給与制度総合見直しの経過措置適用者が国よりも少ない中で、平成27人事委員会勧告に基づき国と同程度の引上げ改定を実施したこと等から、ラスパイレス指数が上昇した。平成28については、平成28人事委員会勧告に基づき、国を下回る改定率で給与改定を行ったこと等により、ラスパイレス指数が低下した。今後も人事委員会勧告に基づき県内の民間給与水準との均衡等を考慮し、適切な給与水準となるよう努めていく。
県政を取り巻く環境の変化等を踏まえ、より一層簡素で効率的な行財政運営を進めるため、平成23年度から平成27年度までの5年間で-350人(-6.3%)の削減目標を定め、更なる定員削減に取り組むこととしていたが、平成23年3月の東日本大震災及び原子力災害の発生により、増大する復旧・復興業務に対応する必要があることから、職員定数条例を暫定的に300人増員し、正規職員に加え、任期付職員の採用や地方自治法に基づく都道府県等からの応援職員の受入れにより必要な人員を確保し、執行体制の強化を図っている。
地方債の元利償還金の減少傾向が続いており、加えて臨時財政対策債の発行による基準財政需要額算入見込額の増加等により、実質公債比率は減少、類似団体の平均を引き続き下回っている。今後も国の財政支援措置等を最大限活用し、復興創生事業に最優先に取り組みながら、効率的な事務執行等により、臨時財政対策債等の特例債を除く県債残高の圧縮に努めていく。
臨時財政対策債発行に伴い地方債の現在高は増えているものの、復興関連基金等の積立により充当可能基金が増加しており、充当可能財源等が増加傾向にある。しかしながら、平成28年度は、実質的な地方交付税が減少したことにより、分母となる標準財政規模が減少したことから、将来負担比率はわずかながら上昇した。これまで県債発行の抑制と既発行債の借換による公債費の平準化を進めてきているが、今後も引き続き、健全化判断比率の状況に十分注意を払いながら、県債の活用による財源の確保を図っていく。
東日本大震災及び原子力災害の発生により、増大する復旧・復興業務に大幅な定員増など行い対応していることから、類似団体の平均を上回る状況が続いている。今後とも、復旧・復興事業の実施のための人員確保が必要となるが、財政健全化に留意しつつ対応していく。
物件費に係る経常収支比率は、内部管理経費等の節減により、ほぼ同水準で推移しているものの、県庁舎の管理委託経費等の増により0.1ポイント増となった。引き続き、内部管理経費の節減や事務事業の効率的執行に努め財政健全化を図っていく。
扶助費に係る経常収支比率は類似団体平均とほぼ同水準で推移している。児童措置費や精神保健医療費など社会保障関係費の増加が見込まれるが、引き続き財政健全化に留意しつつ対応していく。
その他(維持補修費及び貸付金)に係る経常収支比率は、除雪事業等の道路橋りょう維持補修費の増加等により、前年度比0.5ポイント増となっている。今後とも県有財産の効率的かつ効果的な維持補修に努めるなど、財政健全化に留意しつつ対応していく。
補助費等に係る経常収支比率は増加傾向にあり、前年度に比して0.5%ポイント増となっている。その主な要因としては、障害者総合支援給費負担金や地域支援事業交付金等の社会保障関連経費や県立医科大学の運営費交付金(退職手当等)の増加等が挙げられる。今後とも高齢者の増加に伴う介護保険料や医療給付費等の増加が見込まれることから、財政健全化に留意しつつ対応していく。
公債費に係る経常収支比率は、県債発行の抑制と既発行債の借換による公債費の平準化を進めてきたことから、平成21年度以降減少傾向にあり、平成28年度についても22.7%と前年度比0.1ポイント減となっている。今後とも、健全化判断比率の状況に十分注意を払いながら、県債の活用による財源確保を図っていく。
公債費以外に係る経常収支比率は、前年度比1.8ポイント増の74.9%となっている。内部管理経費の節減や事務事業の効率的執行に努めているものの、道路橋りょう等に係る維持補修費の増加等が主な要因となっている。今後とも県有財産の効率的かつ効果的な維持補修に努めるなど、財政健全化に留意しつつ対応していく。
実質公債費比率、将来負担比率ともに類似団体と比較して低く、近年低下傾向にある。将来負担比率の低下傾向は、臨時財政対策債を除く県債残高が減少傾向にあることに加え、復興関連基金への積立による充当可能基金の増加や、標準税収入額の増による標準財政規模の増加によるものである。実質公債費比率は、償還年限の長期化に伴う単年度あたりの償還金の平準化により低下しているものであり、将来負担比率が低下傾向にあることも踏まえ、今後も低下傾向が続くと想定される。
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