経営の健全性について
表②のとおり、本市の営業収支比率は公営企業の平均を下回っている。平成29年度決算時点では同比率が64.9%と乗車料収入をはじめとした営業収益で営業費用の2/3も賄えていない状況にあり、毎年、多額の営業赤字を計上している。これを補うために、毎年、一般会計から多額の補助金を繰り入れていることから、表⑦のとおり、他会計負担金比率は公営企業平均値を大きく上回っており、かつ同比率が増加傾向にあることから、他会計負担金への依存度は年々高まっているといえる。こうした補助金を繰り入れてもなお、表①のとおり、公営企業平均が経常黒字を達成している中、本市の経常収支比率は目標値を大きく下回っている。このように毎年多額の赤字を計上していることなどから、表③のとおり流動比率は50%を下回り、表④のとおり累積欠損金比率は前年度から悪化している。
経営の効率性について
表①及び表②のとおり、本市の走行キロ当たりの収入はキロ当たりの運送原価を下回っている。これはバスの需要が減少していく中にあっても便数等のサービス供給量を極力維持してきたことにより、表④のとおり、本市の乗車効率が公営企業平均よりも低い値で推移してきたことに起因しており、近年は生産年齢人口の減少などから更に悪化傾向にある。
全体総括
需要の減少による慢性的な営業赤字に対して、本市はこれまで、人件費の抑制やバス運転業務等の管理の委託の活用など、走行キロあたりの運送原価の縮減を図ることで対応し、便数等のサービス供給量は極力維持してきた。しかし、指定都市の公営バス事業者の中では低い人件費水準とし、管理の委託についても法定上限まで委託を拡大するなど、費用の削減も限界に達しつつあること、受益と負担の公平性の観点などから他会計補助金への依存度をこれ以上高めることは適切ではないと考えることから、経営改善を図るために、「仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29~33年度)」に基づき、利用状況に応じた便数調整を行うなど、運行を効率化するための取り組みが必要不可欠となっている。