経営の健全性について
表②のとおり、営業収支比率は公営企業平均値が改善傾向にあるなか、本市は悪化傾向にある。平成27年度決算時点で同比率が68.2%と乗車料収入をはじめとした営業収益で営業費用の約2/3しか賄えていない状況にあり、毎年、多額の営業赤字を計上している。これを補うために、毎年、一般会計から多額の補助金を繰り入れていることから、表⑦のとおり、他会計負担金比率は公営企業平均値を大きく上回っている。また、公営企業平均における同比率が逓減傾向にあるなか、本市は増加傾向にあり、他会計負担金への依存度は高まっている状況にある。こうした補助金を繰り入れてもなお、表①のとおり、公営企業平均が経常黒字を達成し、その収支比率も上昇傾向にあるなか、本市の経常収支比率は目標値を下回っている。特に平成27年度以降は地下鉄東西線の開業に伴う地下鉄への利用の転換により乗車料収入が減少していること、表⑧のとおりICシステム等の設備投資を行ったことにより企業債残高対料金収入比率が上昇していることなどから、今後も厳しい経営が続くものと見込まれている。
経営の効率性について
本市の走行キロ当たりの運送原価は表②のとおり概ね横ばいで推移している。一方で走行キロ当たりの収入も平成26年度までは同様に概ね横ばいで推移しており、しかも走行キロあたりの運送原価よりも低い金額となっている。これはバスの需要が減少していく中にあっても便数等のサービス供給量を極力維持してきたことにより、表④のとおり、本市の乗車効率が公営企業平均値よりも低い値で推移していることに起因しており、平成27年度は地下鉄東西線の開業に伴う地下鉄への利用の転換により乗車料収入が減少していることによって、走行キロ当たりの収入が更に低下している。
全体総括
需要の減少による慢性的な営業赤字に対して、本市はこれまで、人件費の抑制やバス運転業務等の管理の委託の活用など、走行キロあたりの運送原価の縮減を図ることで対応し、便数等のサービス供給量は極力維持してきた。しかし、指定都市の公営バス事業者の中では低い人件費水準とし、管理の委託についても法定上限まで委託を拡大するなど、費用の削減も限界に達しつつあること、受益と負担の公平性の観点などから他会計補助金への依存度をこれ以上高めることは適切ではないと考えることから、今後、経営改善を図るために、「仙台市自動車運送事業経営改善計画(平成29~33年度)」に基づき、利用状況に応じた運行本数とするなど、運行を効率化するための取り組みが必要不可欠となっている。